スペイン語を学ぶなら知っておきたい!スペインのカーニバルとその歴史

  1. スペイン語で観光と文化

今回のテーマは「スペインのカーニバル」。世界的にはブラジルのリオや、イタリアのベネチアがカーニバルの地として有名ですが、スペインでも1年で最も盛り上がるお祭りの1つがカーニバルです。

独自の歴史や習慣、見どころなどを詳しくご紹介します。

スペイン語を学ぶなら知っておきたい!スペインのカーニバルとその歴史

カーニバルの歴史

カーニバルとは?

Carnaval(カルナバル)とは、キリスト教に由来する四旬節(しじゅんせつ)の前に行われるお祭りのことです。

もともとは肉を断つという厳格な習慣を迎えるにあたってのお祭りでしたが、現在では仮装や音楽を楽しむイベントとしてさまざまな国や地域で盛り上がりを見せています。

カーニバルの起源

ヨーロッパのカーニバルは12世紀には行われていたそうです。18世紀頃には一般的に流行し、やがて規模が拡大していきました。

「カーニバル」という言葉を日本語に訳すと「謝肉祭」といいます。なぜこんな名前が付けられているのかというと、「思う存分に飲み食いをしてお祭り騒ぎをする」というのが、このお祭りの始まりだったからです。

キリスト教の教会暦では、キリスト復活日の46日前の水曜日(灰の水曜日)から四旬節という期間が始まります。

イエス・キリストは復活前に荒野で40日間断食をしていたことから、四旬節は40日間続き(※)、この期間に人々はキリストの受難と死を黙想するのです。

そして回心に努め、食事を断ちます。その断食の前夜にごちそうを食べて過ごしたのが「カーニバル」の始まりです。

四旬節に断食を行っている人たちは今でもいますが、現在では断食をしていない人たちやキリスト教の信者ではない人たちもカーニバルの習慣を一緒に楽しめる、陽気なお祭りとなっています。

※四旬節とは「40日」を意味するものですが、日曜日は計算に含まれず除かれるため、実際には日曜日を含むと46日間の期間となっています。

カーニバルが行われる時期

カーニバルはキリストの復活から46日前(灰の水曜日)の前日に行われます。キリストは予言通りに十字架にかけられて処刑されたあと、3日後の日曜日に復活しました。そして復活の記念日は「春分後の最初の満月の日の次の日曜日」と定められています。

毎年、復活祭は特定の日付が決まっているわけではありません。年によって異なり、早ければ3月下旬、遅くて4月下旬に当たります。

3月〜4月にかけての時期に行われる復活祭から46日前に開催されるカーニバルは、2月〜3月頃。年によって異なるので、その年の正確なスケジュールについては公式情報などを参考に確認してください。

カーニバルが終わればセマナサンタに

カーニバルは復活祭と深く関連したお祭りです。

英語では復活祭のことを「イースター」といいますね。スペイン語では、復活祭の前の1週間を  Semana Santa(セマナ サンタ)=聖週間と呼びます。

セマナサンタはイースターと同じ意味のように訳されている場合もありますが、正確にはイースターが復活祭の当日を示しているのに対してセマナサンタはその前の1週間を表している言葉です。

セマナサンタ期間は祝日となり、子供も大人も休暇を取ります。カーニバルで盛大に賑わったあとには、春の訪れと共に楽しめるセマナサンタの連休がやってくるのです。

色鮮やかな衣装と羽根飾りのついた帽子をかぶった人々のグループが路上で歌ったり音楽を演奏したりしており、スペインの野外のお祭りイベントの活気ある雰囲気を彷彿とさせます。

スペインのカーニバル

スペインには「国際観光行事」に登録されている名物のカーニバルがあります。

  • カディス(アンダルシア州)
  • サンタ・クルス(テネリフェ島)
  • アギラス(ムルシア州)
  • シンソ・デ・リミア(ガリシア州)
  • ボダホス(エストレマドゥーラ州)
  • ラス・パルマス(グラン・カナリア島)

上記のほかにも、ベルン・オビエド・マドリード・バルセロナなど、各地でカーニバルが催されています。地域によってイベント内容や習慣が異なるので、ぜひ参加してそれぞれの楽しみ方を体験してみてください。

スペインのカーニバルの楽しみ方

カーニバルに欠かせないものといえば、仮装・音楽・パレードです。

街中では盛大なパレードが開かれ、楽器演奏とダンスがパレードを華やかに飾ります。地域によっては山車が出され、迫力のある大きな人形が登場することも。特設されたステージではダンスやバンドのパフォーマンスも行われています。

その年のナンバーワンの仮装を決めるコンテストが開かれている会場では、気合の入った本格的な仮装をした人々が集まり圧巻の光景です。

広場や通りでは屋台が立ち並び、イベントを見ながらブラブラと歩くだけでもお祭りの高揚感が伝わってきます。

締めくくりはイワシの埋葬!?

地域によってはカーニバルの最終日に Entierro de la Sardina(エンティエロ デ ラ サルディーナ)というイベントが行われます。

これは「イワシの埋葬」と呼ばれているもので、いわばイワシのお葬式です。葬儀に参列しているように喪服を着た人々が行列を成し、棺にイワシを入れて歩いています。

「イワシの埋葬」の由来には諸説あり、収穫時期前にイワシを埋めることが冬の保存食の終わりを象徴していたという説、スペインでよく食べられているイワシを供養する意味があるという説があります。

他にも、かつての王が四旬節の前に大量のイワシを用意したところ全て腐っていて埋めるしかなかったという説、イワシは輪廻転生を表しているという説など…。

ムルシアのカーニバルはスペインの中でも特にこの「イワシの埋葬」が有名です。

スペインのカーニバルの衣装

カーニバルではなぜ人々が仮装をするのでしょうか?

それは、身分や階級、年齢などに関わらず誰もが自由に参加できるようにと、仮面を付け、身分を隠し、仮装をして祝うようになったからだといわれています。また、悪霊や災いを追い払う目的で派手な衣装で着飾るという説も。

ヨーロッパのカーニバルで最も有名なベネチアでは、中世貴族の衣装に身をまとい、ベネチアンマスクを付けるのが定番ですが、スペインでもエレガントな中世貴族に扮した人は多く見られます。

地域に根付いた伝統的な民族衣装や闘牛士の仮装をしている人もいますし、パレードではブラジルのカーニバルのようにサンバのコスチュームを着た人たちが陽気に踊っています。

近年では宗教的な行事というよりみんなで賑わうお祭りとなっているので、服装の個性はさまざま。子供たちにはアニメのキャラクターやヒーローもの・海賊・プリンセスのドレスなども人気です。

大人たちもゴージャスに着飾ったり、ちょっと怖めのコスプレでハロウィンのように人々を驚かせたりと、自由気ままに普段は着ないようなコスチュームを着て盛り上がっています。

とにかく誰もが年齢・性別・立場・経験などを問わず賑やかに明るく過ごすのがカーニバルなので、どんな衣装にしても人目を気にせずに思い切り楽しむのが一番。カーニバルを満喫するなら、あなたも一度仮装をして参加してみてはいかがでしょうか。

パンの上に焼いた魚を乗せ、レモンの輪切りを添えた、スペイン料理を彷彿とさせる料理。青い模様のテーブルクロスをかけたテーブルの上に、赤ワインのグラス、ナイフ、フォークが置かれている。

カーニバル時期の代表的な食べ物

Butiffara de huevo(ブティファラ デ ウエボ)

ブティファラ・デ・ウエボとは、卵入りのソーセージのことです。四旬節の間は肉や卵を食べることが禁じられていることから、四旬節前のカーニバルには心置きなく食べよう!というのが伝統となったそうです。

ブティファラはカタルーニャの名物で、バルセロナではカーニバル時期にブティファラ・デ・ウエボが店頭に並びます。

このソーセージをスペインのオムレツに加えた Tortilla de butifarra de huevo (トルティージャ デ ブティファラ デ ウエボ)もカーニバル文化を象徴する名物料理の1つです。

La sardine(ラ サルディーネ)

「イワシの埋葬」について前述したように、カーニバルの最後を告げるのがイワシです。お祭りではイワシを埋めるのですが、家やレストランではイワシの酢漬けや塩焼き、燻製などを味わいます。

Orejas(オレハス)

オレハスは、小麦粉で作った生地を揚げて砂糖をまぶしたパイのようなデザートです。

オレハスという言葉はスペイン語で「耳」を意味する単語 oreja の複数形で、その名が表すようにオレハスは豚の耳のような形をしています。肉が食べられない四旬節に、肉に見立てたお菓子を食べるというのはユニークな習慣ですよね。

このほかにも、カーニバル時期には地域によって異なる郷土料理やデザートがあります。その土地の伝統的なメニューや名物は、地元の人たちに直接聞いてみるのもいいでしょう。そんな時には次のように質問してみてください。

¿Se comen platos o postres tradicionales durante el Carnaval?

セ コメン プラトス オ ポストレス トラディシオナレス ドゥランテ エル カルナバル?

カーニバルの時期に食べるこの土地の伝統的な料理やデザートはありますか?

スペインで有名な各地のカーニバル

今回ここでは、スペインの中でも有名なサンタ・クルス、カディス、ガリシアのカーニバルの3つを簡単にご紹介します。

サンタ・クルス・デ・テネリフェのカーニバル

Carnaval de Santa Cruz de Tenerife

場所は北西アフリカ沖に位置するスペインのカナリア諸島の1つ、テネリフェ島。その中心都市サンタ・クルスのカーニバルはスペインのカーニバルとして最も知られ、世界的にも注目されています。

スタイルはブラジル式で、ゴージャスなコスチューム・華やかな装飾・陽気なラテン音楽・リズムに合わせたダンスパフォーマンス・イマジネーションにあふれた演出などが観客たちの目を奪います。

名物となっているのが、カーニバルの女王を決めるコンテスト。女性たちが着ている巨大な衣装は、なんと高さが5mもあり、重さは80kgにも及ぶのだとか。鮮やかに輝き、ため息が漏れるほどの美しさです。

カディスのカーニバル

Carnaval de Santa Cádiz

アンダルシア州に位置するカディスのカーニバルは、チリゴータスが有名です。

チリゴータスとは、グループで作った楽曲をパフォーマンスするというもので、社会批判を含んだ歌詞やウィットの効いた表現が盛り込まれています。コーラスやバンドなど音楽に興味がある人にはおすすめのイベントです。

また、コンパルサスと呼ばれる仮装行列も見逃せません。

シンソ・デ・リミアのカーニバル

Carnaval de Ginzo de Limia

スペインで最も長い期間行われているのが、ガリシア州シンソ・デ・リミアのカーニバルです。5週間に渡って日曜日にイベントが行われ、毎週異なる見どころがあります。

中でも特徴的なのが、最初の日曜日であるドミンゴ・ファレレイロ(カーニバルの日曜の3週間前)に中央広場で行われる小麦粉の投げ合い。翌週の日曜ドミンゴ・オレイロには壺を投げ合い、落とした人がワインをおごるという習慣があります。

その翌週の日曜コレドイロには、伝統的な仮面をかぶったパンタージャスと呼ばれる人たちが街を走り回り、カーニバルの火曜日マルディグラには一番盛り上がるパレードが行われます。

子供たちのお楽しみは、ピニャータの日曜日。お菓子が入ったくす玉を割るというスペイン語圏の伝統文化が人気です。

※シンソ・デ・リミアはスペイン語で書くと Ginzo de Limia ですが、ガリシア語では Xinzo de Limia と表記します。

世界のカーニバル

世界ではブラジルのリオ、イタリアのベネチア、カリブ海にあるトリニダードトバゴが「世界三大カーニバル」の地として知られています。サンバダンサーたちが可憐に踊るリオのカーニバルは、日本でも有名ですね。

スペイン語圏でも各国で趣向を凝らした独自のイベントを行っています。中でもコロンビアのバランキージャ、メキシコのベラクルス、ドミニカ共和国のラ・ベガのカーニバルは有名で、最高のお祭りだといわれています。

スペインの祭りやパレードでは、ライオンに似た大きな頭飾りをつけた、色鮮やかな衣装を着た人々のグループが路上でダンスを披露します。

カーニバルに関するスペイン語&フレーズ

カーニバルに関連した単語と例文をまとめました。

各地の情報を集めるために、または会話を弾ませるために参考としてください。

《単語》

festival de carnaval

フェスティバル デ カルナバル

カーニバルのお祭り

máscara

マスカラ

仮面

disfraz

ディスフラス

仮装

disfrazarse

ディスフラサルセ

仮装をする

desfile de disfraces

デスフィレ デ ディスフラセス

仮装パレード

cuaresma

クアレスマ

四旬節

entierro de la Sardina

エンティエロ デ ラ サルディーナ

イワシの埋葬

《例文》

El Carnaval se celebra 46 días antes de Semana Santa.

エル カルナバル エス セレブラ クアレンタ イ ディエス ディアス アンテス デ セマナ サンタ

カーニバルは復活祭の46日前に開催されます。

El festival dura una semana.

エル フェスティバル ドゥラ ウナ セマナ

お祭りは約1週間続きます。

La gente se disfraza y se divierte libremente.

ラ ヘンテ セ ディスフラサ イ セ ディビエルテ リブレメンテ

人々は自由気ままに仮装をして楽しみます。

En los carnavales europeos, mucha gente se disfraza de aristócratas medievales.

エン ロス カルナバレス エウロペオス, ムーチャ ヘンテ セ ディスフラサ デ アリストクラタス メディエバレス

ヨーロッパのカーニバルでは多くの人が中世貴族の衣装を着ています。

En carnaval se celebra un gran desfile.

エン カルナバル セ セレブラ ウン グラン デスフィレ

カーニバルのお祭りでは、大規模なパレードが行われます。

En España son famosos los carnavales de Cádiz y Santa Cruz de Tenerife.

エン エスパーニャ ソン ファモソス ロス カルナバレス デ カディス イ サンタ クルス デ テネリフェ

スペインではカディスやサンタ・デ・テネリフェのカーニバルが有名です。

《質問文》

¿Cuándo se celebra el Carnaval este año?

クアンド セ セレブラ エル カルナバル エステ アニョ?

今年のカーニバルはいつ開催されますか?

¿Qué eventos se realizan en Carnaval?

ケ エベントス セ レアリサン エン カルナバル?

カーニバルではどんなイベントがありますか?

¿Dónde se celebra el desfile?

ドンデ セ セレブラ エル デスフィレ?

パレードはどこで行われますか?

¿Qué tipo de disfraz te pondrás?

ケ ティポ デ ディスフラス テ ポンドラス?

あなたはどんな仮装をしますか?

天使の羽と白い服を着た子供がオレンジ色の背景に指を立てており、スペインの古典芸術を彷彿とさせる穏やかな情景が浮かび上がります。

カーニバルにまつわる会話例

最後にカーニバルに関する会話例を見ていきましょう。カーニバルの仮装について、ミゲルさんとタロウさんの2人が話をしています。

Miguel : Este año mi hijo se va a disfrazar de ángel en el carnaval.

エステ アニョ ミ プリモ セ バ ア ディスフラサール デ アンヘル エン エル カルナバル

今年のカーニバルで、息子が天使の仮装をするんだ。

Taro: Qué mono. ¿Cuántos años tiene?

ケ モノ. クアントス アニョ ティエネ?

かわいいね。何歳なの?

Miguel : Tiene seis años. Va a participar en el desfile con sus compañeros de colegio. Es uno de los eventos más esperados por los niños.

ティエネ セイス アニョス. バ ア パルティシパール エン エル ディスフィレ コン スス コンパニェロス デ コレヒオ. エス ウノ デ ロス イベントス マス エスペラドス ポル ロス 二ニョス

6歳。学校の友達とパレードに参加するって言ってね。子どもたちにとっては楽しみにしているイベントの1つだからね。

Taro:Miguel, ¿tú no te disfrazas?

ミゲル, テゥ ノー テ ディスフラサール?

ミゲル、きみは仮装しないの?

Miguel :No, nunca lo hago.

ノー, ヌンカ ロ アゴ

僕はしないよ。

Taro:Me gustaría disfrazarme una vez. Oye, vamos a ponernos algo.

メ グスタリア ディスフラサルメ ウナ ベス. オジェ, バモス ア ポネモス アルゴ

僕は一度仮装してみたいな。ねえ、何か着ていこうよ。

Miguel :¿De qué quieres disfrazarte?

デ ケ セ キエレス でスフラサルテ

何かって、どんな?

Taro:¿Qué tal usar una máscara y parecer un aristócrata medieval?

ケ タル ウサール ウナ マスカラ イ パレセール ウン アリストクラタ メディエバル

仮面を付けて、中世の貴族みたいなかっこうはどう?

Miguel :¿Dónde puedo comprar esa ropa?

ドンデ プエド コンプラール エサ ロパ

そんな衣装、どこで買うんだよ。

Taro:Había una tienda de disfraces cerca de la estación de Sol, así que iré allí y lo comprobaré. ¡Divirtámonos juntos de todos modos!

アビア ウナ ティエンダ デ ディスフラセス セルカ デ ラ エスタシオン デ ソル,  アシ ケ イレ アジ イ ロ コンプラバレ. ディビルタモノス フントス デ トドス モドス

ソル駅の近くにコスチュームの店があったから、今度行って見てみるよ。どうせなら僕たちも一緒に楽しもうよ!

おわりに

毎年2月から3月にかけての間に行われるスペインのカーニバルは、年間行事の中でも特に陽気で誰もが参加して楽しめるものです。ぜひ実際に盛り上がりを体験してみてください!

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