「スペイン語の『来る』は venir、『行く』は ir」。

単語帳でこのように覚えたものの、いざ会話になると「今行くよ!」と言いたい場面で “Voy.” と言うべきか “Vengo.” と言うべきか、一瞬迷ってしまった経験はありませんか?あるいは、ネイティブが使う “Vente” という表現を聞いて、「なぜ再帰代名詞がついているの?」と疑問に思ったことはないでしょうか。

実は、日本人学習者がスペイン語の移動動詞でつまずく最大の原因は、単語の意味そのものではなく、「視点の置き方(カメラワーク)」の違いにあります。ここを理解せずに単語だけを暗記しても、不自然なスペイン語から抜け出すことはできません。

本記事では、プロの翻訳通訳の視点から、教科書には載っていない venir の本質的な感覚、irllegar との決定的な使い分け、そして会話を彩る豊富な熟語表現までを徹底的に深掘り解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたはもう「頭で翻訳」することなく、ネイティブと同じ感覚で「来る」「行く」を使いこなせるようになっているはずです。

スペイン語学習の新たな一歩を、ここから踏み出しましょう。

学習の効果をさらに高めたい方は、体系的に学べる環境も検討してみてください。
スペイン語教室

目次 [ close ]
  1. はじめに:なぜ日本人は「venir」と「ir」を間違えるのか?
  2. 第1章:Venirのコアイメージ「カメラの位置」を理解する
    1. 「来る」ではなく「こちら側への移動」
    2. 物理的な距離と心理的な距離
    3. 英語の "Come" との決定的な違い
  3. 第2章:徹底比較!移動動詞の4大巨頭を使い分ける
    1. Venir (到来) vs Ir (出発・進行)
    2. Llegar (到着・結果) との境界線
    3. Traer (持ってくる) vs Llevar (持っていく)
    4. 【図解イメージ】視点ベクトルで整理する移動の地図
  4. 第3章:時制で変わるニュアンス!活用の完全攻略
    1. 【現在形】不規則活用のパターンを覚える
    2. 【点過去 vs 線過去】「来た」事実と「来ていた」背景
    3. 【未来・過去未来】「来るだろう」の予測と丁寧さ
    4. 【命令形】「おいで!」のバリエーション
    5. 【接続法】感情や疑惑を伴う「来てほしい」
  5. 第4章:表現力が爆発する!「Venir + 前置詞」の黄金パターン
    1. 1. venir a + 不定詞(~しに来る):目的の明確化
    2. 2. venir de + 場所(~から来る):出身と起点
    3. 3. venir en + 手段(~で来る):交通手段と状態
    4. 4. venir con + 人/物(~と来る):同伴と所持
    5. 5. venir por + 対象(~を迎えに来る/~のために来る):理由と動機
  6. 第5章:ネイティブはこう使う!「Venirse」の正体
    1. 再帰動詞になると何が変わる?(強調と自発性)
    2. 「行ってしまう」の意味になる場合(文脈依存)
  7. 第6章:知っていると一目置かれる!Venirを使った熟語・慣用句20選
    1. 日常・ビジネスで使える表現
  8. 第7章:よくある間違いとQ&Aセッション
  9. 第8章:実践トレーニング!シーン別会話例
    1. シーン1:パーティーへの招待
    2. シーン2:待ち合わせ場所での電話
  10. まとめ:視点を操ればスペイン語脳が手に入る

はじめに:なぜ日本人は「venir」と「ir」を間違えるのか?

日本語の「行く」と「来る」は、基本的に話し手の現在の位置が基準になります。しかし、スペイン語(そして英語もそうですが)では、相手の場所や話題の中心など、心理的な基準点が移動することがあります。特にスペイン語は、この「視点のルール」が英語とも微妙に異なります。

多くの学習者が陥る罠、それは「日本語の直訳」「英語の Come との混同」です。

  • 間違いの例: 友達の家に行く約束をしていて、「今(君の家に)行くね」と言うつもりで “Ahora vengo.” と言ってしまう。
    → ネイティブには「今(ここに戻って)来るね」と聞こえてしまい、混乱を招きます。

正しい使い分けの鍵は、自分の中に「スペイン語脳の羅針盤」を持つことです。まずは、その羅針盤の中心となる venir のコアイメージから見ていきましょう。

第1章:Venirのコアイメージ「カメラの位置」を理解する

「来る」ではなく「こちら側への移動」

Venir の辞書的な意味は「来る」ですが、脳内イメージとしては「基準点(話し手や話題の中心)に向かって、対象が近づいてくる」という映像を描いてください。磁石のように引き寄せられる感覚です。

重要なのは、この「基準点」がどこにあるかです。

  • 基本: 話し手が今いる場所(ここ)。
  • 応用: 話し手と聞き手が共有している場所、あるいはこれから合流する場所。

例えば、あなたがカフェで待っていて、友人がそのカフェに入ってくる場面。これは間違いなく venir です。
“Mi amigo viene al café.” (友達がカフェに来る。)

物理的な距離と心理的な距離

Venir は物理的な移動だけでなく、時間的、心理的な「到来」も表します。

  • 季節の到来: Ya viene la primavera.(もうすぐ春が来る。)
  • 感情の到来: Me viene una idea.(アイデアが浮かぶ=私のもとにアイデアがやってくる。)

このように、あらゆる事象が「自分(または基準点)のテリトリーに入ってくる」感覚こそが venir の正体です。

英語の “Come” との決定的な違い

ここが最大の難関です。英語の “I’m coming.”(今行くよ)につられて、スペイン語でも “Vengo.” と言いたくなりますが、これは多くの場合間違いです。

  • 英語 (Come): 相手の場所へ向かう動きも “Come” で表現できる(相手視点に立てる)。
  • スペイン語 (Venir): 原則として「話し手のいる場所(ここ)」への移動。相手の場所へ向かうのは「ここから離れる」動きなので Ir を使う。

このズレを修正しないと、いつまでたっても不自然なスペイン語になってしまいます。次の章で、この違いをさらに詳しく図解的に整理しましょう。

第2章:徹底比較!移動動詞の4大巨頭を使い分ける

IrとVenirの矢印による比較図

自分を中心にしたとき、矢印が「入る」のがVenir、「出る」のがIrです。

スペイン語の移動動詞で迷わないためには、「Ir」「Venir」「Llegar」「Traer」の4つをセットで理解する必要があります。これらは「方向」と「結果」という異なる要素を持っています。

Venir (到来) vs Ir (出発・進行)

最もシンプルな区別方法は「ベクトル(矢印)の向き」です。

動詞 ベクトルの向き 日本語イメージ 例文
Venir 外 → 内(ここ)
接近する動き
来る、やってくる Juan viene a mi casa.
(フアンが私の家に来る。)
Ir 内(ここ) → 外
離れていく動き
行く、向かう Voy a tu casa.
(君の家に行くよ。)

「君の家に行く」という行為は、話し手(私)から見れば「今の場所から離れて君の家に向かう」ことなので、ベクトルは外向き。だから Ir (Voy) になります。

Llegar (到着・結果) との境界線

Llegar は「移動のプロセス」ではなく「移動の完了(点)」にフォーカスします。

  • Venir / Ir: 移動している「最中」や「方向」に関心がある。
  • Llegar: 目的地に「着いたかどうか」に関心がある。

例を見てみましょう。
Q: いつ着くの?
¿A qué hora llegas? (何時に到着する=完了するの?)
¿A qué hora vienes? (何時に来る=こっちに姿を見せるの?)

どちらも使えますが、Llegar は「到着時刻(点)」を強く意識し、Venir は「やってくる行為」を意識します。「遅れて着いた」と言いたい場合は、完了した結果なので “He llegado tarde.” が最も自然です。

Traer (持ってくる) vs Llevar (持っていく)

これも Venir/Ir と同じ論理でセットで覚えましょう。

  • Traer (To bring): 何かを持って Venir する(こちらへ持ってくる)。
  • Llevar (To take): 何かを持って Ir する(あちらへ持っていく)。

シチュエーション:ホームパーティー
ホスト:「ワインを持ってきてくれる?(こちらへ)」
¿Puedes traer vino?

ゲスト:「いいよ、ワインを持っていくね。(そちらへ)」
Sí, llevo el vino.

ここでゲストが “Traigo el vino.” と言うと、電話口なのに「今(自分の手元に)持ってくる」という不思議なニュアンスになってしまいます。

【図解イメージ】視点ベクトルで整理する移動の地図

頭の中で以下の地図を描いてください。

  1. 現在地(私)にピンを立てる。
  2. そのピンに向かってくるすべての矢印は Venir / Traer
  3. そのピンから発射されるすべての矢印は Ir / Llevar
  4. 矢印の先端(ゴール)にタッチする瞬間が Llegar

このシンプルかつ強力なルールさえ守れば、もう迷うことはありません。

第3章:時制で変わるニュアンス!活用の完全攻略

Venir は非常に頻繁に使われる動詞ですが、不規則活用のデパートのような動詞でもあります。ここでは、単なる暗記ではなく、それぞれの時制が持つ「会話でのニュアンス」と共に解説します。

【現在形】不規則活用のパターンを覚える

まずは基本の現在形です。「私は来る」と言うとき、“Veno” ではなく “Vengo” となる点に注意が必要です(通称:Go動詞)。

  • Yo: Vengo (私は来る)
  • Tú: Vienes (君は来る) ← 語幹母音変化 e -> ie
  • Él/Ella/Usted: Viene (彼は/彼女は/あなたは来る)
  • Nosotros: Venimos (私たちは来る) ← ここは変化しない!
  • Vosotros: Venís (君たちは来る)
  • Ellos/Ellas/Ustedes: Vienen (彼らは/あなた方は来る)

【ポイント】
“¿Vienes?”(来る?)と聞かれて、“Sí, vengo.”(うん、行くよ[相手がこちらに来る文脈なら])や、“Vengo todos los días.”(毎日来ています)のように習慣を表す際によく使います。

【点過去 vs 線過去】「来た」事実と「来ていた」背景

過去形になると、物語のニュアンスが変わります。

1. 点過去 (Pretérito Indefinido) – 事実の完了
活用:Vine, Viniste, Vino, Vinimos, Vinisteis, Vinieron
意味:「来た」。完了した一点の事実。

  • “Ayer vino mi madre.”(昨日、母が来た。)
    → 来て、もうその動作は終わっている感覚。

2. 線過去 (Pretérito Imperfecto) – 継続・背景・未完了
活用:Venía, Venías, Venía, Veníamos, Veníais, Venían
意味:「来ていた」「来る途中だった」「(かつて)来ていたものだ」。

  • “Ella venía hacia aquí cuando la vi.”(彼女は私を見たとき、こっちに向かって来ている途中だった。)
    → 動作の進行中を描写。
  • “Antes venía mucho a este parque.”(昔はこの公園によく来ていたものだ。)
    → 過去の習慣。

【未来・過去未来】「来るだろう」の予測と丁寧さ

未来形(Vendré…)は「来るつもりだ」という意思や、「来るだろう」という推量を表します。

  • “Mañana vendrán mis padres.”(明日、両親が来るでしょう。)
  • “¿Quién vendrá a estas horas?”(こんな時間に誰が来るんだろう?=不審な訪問者への推量)

過去未来(Vendría…)は、「来るはずだったのに」という過去の視点からの未来や、丁寧な表現に使われます。

  • “Dijo que vendría.”(彼は来ると言った。)

【命令形】「おいで!」のバリエーション

日常会話で最も使うのが命令形です。相手との距離感で使い分けましょう。

  • Tú(親しい相手): ¡Ven!
    “¡Ven aquí!”(ここに来て!/おいで!)
    “Venir” の肯定命令は不規則で短くなります。
  • Usted(目上の人・距離のある相手): ¡Venga!
    “Venga, por favor.”(こちらへいらしてください。)
  • Vosotros(親しい複数・スペイン): ¡Venid!
    “¡Chicos, venid a comer!”(みんな、ごはんだからおいで!)
  • Ustedes(ラテンアメリカ全般・スペインでの敬称複数): ¡Vengan!
    “¡Vengan todos!”(みんな来てください!)

【接続法】感情や疑惑を伴う「来てほしい」

「彼に来てほしい」「彼が来るとは思わない」など、主観的な気持ちが入る場合は接続法を使います。
活用(現在):Venga, Vengas, Venga, Vengamos, Vengáis, Vengan

  • “Quiero que vengas a mi fiesta.”(君に僕のパーティーに来てほしい。)
  • “No creo que venga hoy.”(今日彼が来るとは思わない。)

第4章:表現力が爆発する!「Venir + 前置詞」の黄金パターン

Venir は前置詞と組み合わせることで、表現の幅が劇的に広がります。これらをセットフレーズとして覚えておくと、会話の流暢さが格段にアップします。

1. venir a + 不定詞(~しに来る):目的の明確化

動作の目的を伝えます。Ir a(~しに行く)の対になる表現です。

  • Vengo a hablar contigo.”(君と話しに来たんだ。)
  • “No he venido a discutir.”(議論しに来たわけじゃない。)

2. venir de + 場所(~から来る):出身と起点

物理的な移動の起点だけでなく、出身地を表す際にも使います。Ser de(~出身である)と似ていますが、より「移動・到来」のニュアンスが強くなります。

  • Vengo del médico.”(医者のところから来た=病院帰りだ。)
  • Vengo de una familia humilde.”(私は貧しい家庭の出身だ。)

3. venir en + 手段(~で来る):交通手段と状態

交通手段を表す場合は en を使います。英語の by につられて por を使わないように注意しましょう。

  • “¿Has venido en coche o en tren?”(車で来たの?それとも電車?)
  • “El paquete viene en camino.”(荷物は配送中です=道のりの中に来ている。)

4. venir con + 人/物(~と来る):同伴と所持

誰かと一緒に、あるいは何かを持って来る場合です。

  • “Esta noche vengo con mi novia.”(今夜は彼女と一緒に来るよ。)
  • “El ordenador viene con un manual.”(そのパソコンにはマニュアルが付いてくる=同梱されている。)

5. venir por + 対象(~を迎えに来る/~のために来る):理由と動機

Por は「原因・理由・動機」を表します。また、「~を迎えに」という意味でも頻出です。

  • Vengo por ti.”(君を迎えに来たよ。)← 超重要フレーズ!
  • Vengo por trabajo.”(仕事で来ました。)

第5章:ネイティブはこう使う!「Venirse」の正体

パーティで友人を誘うVente!のシーン

親しい間柄なら、単なる「Ven」よりも「Vente」の方が温かみと勢いが伝わります。

ドラマや映画を見ていると、“Me vengo.”“¡Vente!” のように、再帰代名詞(me, te, se…)がついた形をよく耳にします。辞書には「来る」としか書いていないことが多いですが、ネイティブの感覚は少し違います。

再帰動詞になると何が変わる?(強調と自発性)

Venirse になると、単なる移動に「主体性」「意欲」「完了」「強調」といったニュアンスが加わります。

  • “Ven a mi casa.”(家に来て。)→ フラットな命令。
  • Vente a mi casa.”(家においでよ!)→ 親しみ、強い誘い、相手を巻き込むニュアンス。

「一緒に来ない?」と誘うときは、“¿Te vienes?” の方が “¿Vienes?” よりも「一緒に楽しもうよ」というニュアンスが出て自然です。

「行ってしまう」の意味になる場合(文脈依存)

面白いことに、文脈によっては「(ある場所から離れて)やって来る」→「去る」「帰る」という意味になることがあります。

  • “Me vengo a casa.”((今いる場所を出て)家に帰ってくる=帰るね。)

外にいる状態から「自分の本拠地(家)」に Venir するということは、今の場所から見れば「帰る」動作になるわけです。

第6章:知っていると一目置かれる!Venirを使った熟語・慣用句20選

Venir は物理的な移動を超えて、多くの慣用句を作ります。これらを使いこなせると、スペイン語力がグッと上がって聞こえます。

日常・ビジネスで使える表現

  1. Venir bien / mal(都合がいい/悪い、似合う/似合わない)
    “Ese horario me viene bien.”(その時間は都合がいいです。)
    “Esa camisa te viene grande.”(そのシャツは君には大きすぎる=サイズが合わない。)
  2. Venir a cuento(話のついでである、関係がある)
    “Eso no viene a cuento ahora.”(それは今関係ない話だ。)
  3. Venir al mundo(生まれる)
    “El bebé vino al mundo ayer.”(昨日赤ちゃんが生まれた。)
  4. Venirse abajo(崩れ落ちる、落ち込む)
    “El proyecto se vino abajo.”(プロジェクトは失敗に終わった。)
    “Él se vino abajo cuando escuchó la noticia.”(ニュースを聞いて彼は精神的に参ってしまった。)
  5. Venirse arriba(調子に乗る、興奮する)
    “No te vengas arriba.”(調子に乗るなよ/舞い上がるなよ。)
  6. Venir de perlas / Venir de maravilla(あつらえ向きだ、最高に都合がいい)
    “Este dinero me viene de perlas.”(このお金は本当に助かる/ちょうど渡りに船だ。)
  7. Lo que se te venga a la cabeza(頭に浮かぶこと)
    “Di lo que se te venga a la cabeza.”(思いついたことを言ってごらん。)
  8. Venga lo que venga(何が起きようとも)
    “Estaré contigo, venga lo que venga.”(何があっても君と一緒にいるよ。)

第7章:よくある間違いとQ&Aセッション

学習者が抱きがちな疑問に、Q&A形式でズバリ答えます。

Q1. 電話で「今行くよ」はなぜ “Voy” なのか?

A. スペイン語の視点は常に「自分」にあるからです。
電話の向こうの相手にとっては「あなたが来る(Vienes)」ですが、あなた自身にとっては「今の場所から離れて相手の場所へ向かう」動作です。だからベクトルは外向きの Ir (Voy) になります。
例外的に、もしあなたが自宅にいて、家族に電話で「今(家に)帰ってきてる?」と聞かれたら、「うん、今(家に)向かって来ているよ(帰ってるよ)」という意味で “Sí, estoy viniendo.” と言うことは可能です(基準点が家にあるため)。しかし、基本は Voy です。

Q2. 「来たばかり」をどう言うか?

A. “Recién llegado” を使いましょう。
「来たばかり」=「到着したばかり」という完了の状態です。ですので、Venir ではなく Llegar の過去分詞を使います。
× Soy recién venido.
Soy recién llegado.

電話で話しながら頭の中では相手の場所に移動しているイメージ

「Voy(行くよ)」と言いながら、心は相手のもとへ飛んでいく。これがスペイン語の感覚です。

第8章:実践トレーニング!シーン別会話例

最後に、実際の会話の流れの中で Venir をどう使うか確認しましょう。

シーン1:パーティーへの招待

Ana: Hola, Luis. ¿Qué haces este sábado?
(ルイス、今週の土曜日何してる?)
Luis: Nada especial. ¿Por qué?
(特に何もないけど、なんで?)
Ana: Voy a hacer una fiesta en mi casa. ¿Te vienes?
(うちでパーティーやるんだけど、来ない?)
Luis: ¡Claro! ¿Puedo ir con mi hermano?
(もちろん!弟と一緒に行ってもいい? [Anaの家へ向かうので Ir])
Ana: Sí, por supuesto. Venid cuando queráis.
(ええ、もちろん。好きな時に来てね。 [Anaの場所に呼ぶので Venir])

シーン2:待ち合わせ場所での電話

Maria: ¿Dónde estás? Te estoy esperando.
(どこにいるの?待ってるんだけど。)
Juan: Perdona, el autobús se retrasó. Pero ya estoy llegando.
(ごめん、バスが遅れてて。でももう着くよ。 [到着直前=Llegar])
Maria: Vale, ¿vienes solo?
(わかった。一人で来るの? [Mariaの元へ来る=Venir])
Juan: Sí, voy solo. Estoy ahí en 5 minutos.
(うん、一人で行くよ。あと5分でそこに行くね。 [Mariaの方へ向かう=Ir])

まとめ:視点を操ればスペイン語脳が手に入る

長旅お疲れ様でした!ここまで読み進めたあなたは、単なる単語の意味としての venir だけでなく、スペイン語話者が世界をどう見ているかという「視点」を手に入れたはずです。

  • Venir は、基準点(自分や共有の場所)への「引き寄せ」の動き。
  • Ir は、基準点からの「離脱・進行」の動き。
  • Llegar は、移動の「完了・到達」の結果。

この3つの使い分けは、スペイン語の会話において最も基本的でありながら、最も奥深い部分です。しかし、一度「カメラの位置」を意識できるようになれば、驚くほど自然に言葉が出てくるようになります。

今日から、誰かに会うときは「私はカメラを持ってどこに立っているかな?」と意識してみてください。それが、ネイティブのような自然なスペイン語への最短ルートです。

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マリア (María) この記事を書いた人

元・高校教師(主に歴史担当)であり、現在は日本でスペイン語・英語講師としても勤務しより良い教育実践を目指し、日本の教育制度についても学んでいます。スペイン政府機関セルバンテス文化センター(東京)認定のDELE試験官(全レベル A1~C2)及びAVEオンライン講師資格保持者です。
セルバンテス文化センターでの講師経験に加え、独立行政法人国際協力機構(JICA)、大手企業(丸紅、日野自動車等)、多数の語学学校で、日本人学習者に対する豊富な指導実績を有し専門知識に基づいた指導、教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。