一日の終わりに交わす「おやすみなさい」の挨拶。それは、今日一日の出来事を振り返り、安らかな眠りへと誘う、大切なコミュニケーションの一部ですよね。スペイン語圏の人々は、家族や友人、恋人など、大切な人へ愛情や労いの気持ちを込めて、様々な夜の挨拶を交わします。
定番の「Buenas noches」はもちろん、「ゆっくり休んでね」「いい夢を見てね」「また明日」といった心温まるフレーズを知っていると、スペイン語でのコミュニケーションはもっと豊かになります。疲れを癒し、心地よい眠りにつけるように、気持ちのこもった言葉を伝えたいものです。
今回は、スペイン語の「おやすみ」に関する表現を徹底解説!基本的な挨拶から、相手を気遣う言葉、ロマンチックなフレーズ、そして関連する便利な言い回しまで、具体的な使い方や文化的背景、簡単な文法ポイントも交えながら、幅広くご紹介します。これであなたも、スペイン語で素敵な夜の挨拶ができるようになりますよ!
Buenas nochesだけじゃない!スペイン語の「おやすみ」完全ガイド|夜の挨拶&便利フレーズ集
目次
スペイン語の夜の挨拶:基本の「おやすみなさい」
定番フレーズ「Buenas noches」の意味と使い方
Buenas noches
(ブエナス ノーチェス)
おやすみなさい / こんばんは / 良い夜を
直訳は「良い夜を」
スペイン語で「おやすみなさい」を表す最も基本的で一般的な挨拶が「Buenas noches」です。「noches」は「夜」を意味する女性名詞 noche の複数形、「buenas」は「良い」を意味する形容詞 bueno が女性複数形に変化した形です。つまり、直訳すると「良い夜(複数形)を」となります。
文法ポイント:なぜ “Buenas” なのか? (性数一致)
スペイン語初心者の方がよく混同するのが、「おはよう」の「Buenos días (ブエノス ディアス)」との違いです。なぜ「おやすみ」は “Buenas” で、「おはよう」は “Buenos” なのでしょうか?
これは、スペイン語の**形容詞が修飾する名詞の性(男性/女性)と数(単数/複数)に合わせて形を変化させる**というルール(性数一致)があるためです。
- noche (夜) は**女性名詞**です。挨拶では複数形の noches を使うため、形容詞も女性複数形の buenas になります。
- día (日) は**男性名詞**です。挨拶では複数形の días を使うため、形容詞も男性複数形の buenos になります。
同様に、「こんにちは/こんばんは」にあたる「Buenas tardes (ブエナス タルデス)」も、「tarde (午後/夕方)」が女性名詞であるため、buenas が使われます。この性数一致のルールはスペイン語の基本ですので、しっかり覚えておきましょう。
使う場面(就寝前、夜の別れ際)と相手(誰にでもOK)
「Buenas noches」は非常に versatile(用途が広い)な挨拶です。以下の二つの主な場面で使われます。
- 寝る前の挨拶「おやすみなさい」として:家族や同居人、恋人などに、文字通り「おやすみ」と伝える時に使います。
- 夜の時間帯の挨拶・別れの挨拶「こんばんは」「さようなら」として:日が暮れて夜になった後(スペインでは夕食の時間も遅いため、夜8時、9時以降くらいからが目安)、人に会った時の「こんばんは」や、夜に人と別れる際の「さようなら(良い夜を)」の意味でも使われます。
このフレーズは、**カジュアル/フォーマルの区別なく、どんな相手にも使うことができます**。家族、友人、恋人といった親しい間柄から、お店の人、仕事相手、初対面の人、目上の人まで、誰に対しても失礼なく使える万能な夜の挨拶です。
就寝前・夜の別れ際に使える便利フレーズ集
「Buenas noches」以外にも、夜の挨拶や就寝前の会話で使える便利なスペイン語フレーズがたくさんあります。相手への気持ちをより豊かに伝えるために、いくつか覚えておきましょう。
相手を気遣う労いの言葉
一日の終わりに、相手の疲れをねぎらい、安らかな休息を願う言葉です。「Buenas noches」に続けて言うと、より温かい気持ちが伝わります。
¡Que descanses! – ゆっくり休んでね(親しい相手へ)
¡Que descanses!
(ケ デスカンセス!)
ゆっくり休んでね。
動詞 descansar (デスカンサール / 休む、休息する) の接続法現在形を使った表現です。本来は「(Espero) que descanses bien.(君がよく休めることを願っているよ)」のような文が省略された形で、「ゆっくり休んでね」「お疲れ様」というニュアンスで、親しい友人や家族に対して使われます。仕事終わりや、夜の別れ際などにも使える便利なフレーズです。
¡Que duermas bien! – ぐっすり眠ってね(親しい相手へ)
¡Que duermas bien!
(ケ ドゥエルマス ビエン!)
ぐっすり眠ってね。 / よく寝てね。
動詞 dormir (ドルミール / 眠る) の接続法現在形を使った表現。「良い睡眠(眠り)を!」という気持ちを込めて、寝る前の相手に伝えます。「Que descanses!」とほぼ同じように使われますが、こちらはより「睡眠」に焦点が当たっています。
目上の人への丁寧な表現 (¡Que descanse! / ¡Que duerma bien!)
¡Que descanse!
(ケ デスカンセ!)
¡Que duerma bien!
(ケ ドゥエルマ ビエン!)
ごゆっくりお休みください。/ どうぞよくお眠りください。
上記の「¡Que descanses!」「¡Que duermas bien!」は、親しい相手(túで話す相手)への表現です。目上の人や、usted(丁寧なあなた)で話す相手に対しては、動詞の活用をusted形(接続法現在)に変えて、「¡Que descanse!」や「¡Que duerma bien!」と言います。これにより、敬意を払いながら相手の休息を願う気持ちを伝えることができます。
甘い夢を願う言葉
特に子供や恋人など、親しい相手に向けて、愛情を込めて使われる表現です。
¡Dulces sueños! – 良い(甘い)夢を!
¡Dulces sueños!
(ドゥルセス スエニョス!)
甘い夢を! / 良い夢を見てね!
「sueño (スエニョ)」は「夢」または「眠気」、「dulce (ドゥルセ)」は「甘い、優しい」という意味の形容詞。複数形に合わせて「Dulces sueños」となります。英語の “Sweet dreams!” に相当する、ロマンチックで優しい響きのフレーズです。
¡Que sueñes con los angelitos! – 天使の夢を! (子供や恋人へ)
¡Que sueñes con los angelitos!
(ケ スエニェス コン ロス アンヘリートス!)
天使たちの夢を見られますように!
動詞 soñar (con…) (ソニャール / ~の夢を見る) の接続法現在形を使った表現。「angelito (アンヘリート)」は「小さな天使」を意味します。「天使が出てくるような、幸せで安らかな夢を見てね」という、非常に愛情のこもった言い方で、特に子供を寝かしつける際によく使われます。
また明日!別れ際の挨拶
夜に別れる際、翌日も会う予定がある場合に使う定番のフレーズです。
Hasta mañana – また明日
Hasta mañana
(アスタ マニャーナ)
また明日
「hasta」は前置詞で「~まで」、「mañana」は「明日」。直訳は「明日まで」。夜だけでなく、日中の別れ際にも「また明日ね」という意味で使われる、非常にポピュラーな挨拶です。
Nos vemos mañana – また明日会いましょう
Nos vemos mañana
(ノス ベモス マニャーナ)
(私たちは)また明日会いましょう
動詞 verse (ベルセ / 会う、会い見える) の一人称複数現在形「nos vemos」を使った表現。「私たちは(明日)会いますね」という確認の意味合いも含まれます。「Hasta mañana」よりも、次に会うことがより確実な場合に使う傾向があります。同僚やクラスメートなどに対してよく使われます。
その他の「Hasta + 時」表現
「Hasta」の後ろに様々な時を表す言葉を続けることで、「また(その時)に」という意味の挨拶になります。
Hasta pasado mañana.
(アスタ パサード マニャーナ)
また明後日。Hasta el lunes.
(アスタ エル ルネス)
また月曜日に。Hasta la próxima semana.
(アスタ ラ プロキシマ セマナ)
また来週。Hasta luego.
(アスタ ルエゴ)
また後でね。(比較的すぐに再会する場合)Hasta pronto.
(アスタ プロント)
また近いうちにね。Hasta la próxima.
(アスタ ラ プロキシマ)
また次の機会に。Hasta siempre.
(アスタ スィエンプレ)
永遠にさようなら。(特別な別れの場合)

穏やかな眠りを願う言葉がたくさんあります
眠気や就寝に関連するフレーズ
「おやすみ」の挨拶の前後に使われる、眠気や寝ることを表す表現も覚えておくと便利です。
自分が眠い時:「Tengo sueño」
Tengo sueño.
(テンゴ スエニョ)
眠いです。
スペイン語では「眠い」という状態を、動詞 tener (テネール / 持つ) + 名詞 sueño (スエニョ / 眠気、夢) で表現します。「眠気を持っている」=「眠い」というわけです。同様に、「お腹が空いた」は「Tengo hambre (テンゴ アンブレ)」、「喉が渇いた」は「Tengo sed (テンゴ セッ)」となります。自分が眠い時は一人称単数の「Tengo sueño.」。相手に「眠いの?」と聞く時は二人称単数の「¿Tienes sueño? (ティエネス スエニョ?)」となります。
寝ることを伝える:「Me voy a la cama / Me voy a dormir」
Me voy a la cama.
(メ ボイ ア ラ カマ)
もう寝るよ。/ ベッドに行くよ。Me voy a dormir.
(メ ボイ ア ドルミール)
もう寝るよ。/ 眠りに行くよ。
「もう寝ます」と自分の就寝を伝える際の一般的な表現です。「Irse (イルセ)」は「行く、去る」という意味の再帰動詞で、ここでは「(今いる場所から)行く」というニュアンスです。「a la cama」は「ベッドへ」、「a dormir」は「眠りに」。どちらも「もう寝るね」という意味で使われます。
相手に就寝を促す:「Vete a la cama / A dormir」
Vete a la cama.
(ベテ ア ラ カマ)
もう寝なさい。/ ベッドに行きなさい。¡A dormir!
(ア ドルミール!)
寝なさい! / 寝る時間だよ!
「Vete (ベテ)」は、動詞 irse の tú(親しい君)に対する肯定命令形。「ベッドに行きなさい」という意味で、主に親が子供に対して使います。「¡A dormir!」は「Vete a dormir」の省略形で、より強く「さあ、寝なさい!」と促すニュアンスがあります。
「おやすみ」への返事はどうする?
「Buenas noches」や「Hasta mañana」など、相手から夜の挨拶をされたら、どのように返事をするのが自然でしょうか? 基本的には、相手と同じ言葉を繰り返すのが最もシンプルで一般的です。
- 相手: Buenas noches. → 自分: Buenas noches.
- 相手: Hasta mañana. → 自分: Hasta mañana.
しかし、「¡Que descanses! (ゆっくり休んでね)」のような労いの言葉をかけてもらった場合は、相手にも同じように休息を願う気持ちを返したいですよね。そんな時に使える便利な表現が「あなたもね!」です。
Igualmente – あなたも同様に (万能)
Igualmente.
(イグアルメンテ)
同様に。/ あなたもね。
副詞「igualmente」は「同じように、同様に」という意味。「おやすみ」系の挨拶だけでなく、「¡Buen fin de semana! (良い週末を!)」や「¡Feliz Navidad! (メリークリスマス!)」など、相手の幸福や成功を祈る様々な言葉に対して、「あなたもね!」と返すことができる、非常に便利な万能フレーズです。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使えます。
Tú también / Usted también – 君も/あなたも
Tú también.
(トゥ タンビエン)
君もね。(親しい相手に)Usted también.
(ウステッ タンビエン)
あなたも。(丁寧な相手に)
「también」は「~もまた」という意味の副詞。「Tú también」は「君も同様に(休んでね、良い夢を見てね)」、「Usted también」はその丁寧な形です。「Igualmente」と同じ意味ですが、相手に合わせて tú と usted を使い分ける必要があります。(usted の最後の “d” は弱く、またはほとんど発音されないことが多いです。)
これらの返事を使いこなせると、より自然で心のこもったコミュニケーションになりますね。
【場面別】スペイン語「おやすみ」会話例
それでは、実際にどのような場面でこれらの「おやすみ」フレーズが使われるのか、具体的な会話例を見てみましょう。
家族との就寝前
Madre:Ya es tarde, cariño. Son las once. Vete a la cama ya.
(母:ジャ エス タルデ, カリーニョ. ソン ラス オンセ. ベテ ア ラ カマ ジャ.)
もう遅い時間よ、あなた。11時よ。もうベッドに行きなさい。Hija:Vale, mamá. Ya voy. Buenas noches.
(娘:バレ, ママ. ジャ ボイ. ブエナス ノーチェス.)
わかった、ママ。もう行くよ。おやすみなさい。Madre:Buenas noches, mi vida. ¡Que sueñes con los angelitos!
(母:ブエナス ノーチェス, ミ ビダ. ケ スエニェス コン ロス アンヘリートス!)
おやすみなさい、愛しい子。天使の夢を見てね!
友人との別れ際
Laura:Bueno, me voy ya. ¡Hoy me lo he pasado genial! Nos vemos la semana que viene, ¿vale?
(ラウラ:ブエノ, メ ボイ ジャ. オイ メ ロ エ パサード ヘニアル! ノス ベモス ラ セマナ ケ ビエネ, バレ?)
さて、もう行くね。今日はすごく楽しかった!また来週会おうね、いい?Miguel:¡Claro! Llámame. Buenas noches y que descanses.
(ミゲル:クラロ! ジャマメ. ブエナス ノーチェス イ ケ デスカンセス.)
もちろん!電話してね。おやすみ、ゆっくり休んで。Laura:Gracias, tú también. ¡Hasta la semana que viene!
(ラウラ:グラシアス, トゥ タンビエン. アスタ ラ セマナ ケ ビエネ!)
ありがとう、あなたもね。また来週!
仕事相手との夜の挨拶
Empleado:Gracias por quedarse hasta tan tarde, Sr. Gómez. Espero que la reunión haya sido productiva. ¡Que tenga un buen viaje de vuelta a casa!
(会社員:グラシアス ポル ケダルセ アスタ タン タルデ, セニョール ゴメス. エスペロ ケ ラ レウニオン アジャ シド プロドゥクティーバ. ケ テンガ ウン ブエン ビアヘ デ ブエルタ ア カサ!)
ゴメス様、こんな遅くまでお残りいただきありがとうございました。会議が実り多いものであったことを願っております。どうぞお気をつけてお帰りくださいませ。Cliente:Gracias a usted por su tiempo. Igualmente. Entonces, buenas noches.
(クライアント:グラシアス ア ウステッ ポル ス ティエンポ. イグアルメンテ. エントンセス, ブエナス ノーチェス.)
お時間をいただきこちらこそ感謝いたします。あなたも。それでは、失礼します(おやすみなさい)。Empleado:Buenas noches, Sr. Gómez. Espero verle pronto.
(会社員:ブエナス ノーチェス, セニョール ゴメス. エスペロ ベルレ プロント.)
失礼いたします、ゴメス様。また近いうちにお目にかかれることを楽しみにしております。
恋人への就寝前の挨拶(電話やメッセージ)
Ella:Ya tengo mucho sueño. ¿Hablamos mañana?
(彼女:ジャ テンゴ ムーチョ スエニョ. アブラモス マニャーナ?)
もうすごく眠いんだ。明日話さない?Él: Vale, mi amor. Descansa bien. Que duermas bien y dulces sueños.
(彼:バレ, ミ アモール. デスカンサ ビエン. ケ ドゥエルマス ビエン イ ドゥルセス スエニョス.)
わかった、愛しい人。よく休んで。ぐっすり眠って、甘い夢を。Ella: Gracias, cariño. Tú también. Buenas noches. Te quiero.
(彼女:グラシアス, カリーニョ. トゥ タンビエン. ブエナス ノーチェス. テ キエロ.)
ありがとう、ダーリン。あなたもね。おやすみなさい。愛してる。Él: Yo también te quiero. Buenas noches.
(彼:ジョ タンビエン テ キエロ. ブエナス ノーチェス.)
僕も愛してるよ。おやすみ。

状況に合わせて様々なフレーズを使い分けてみましょう
まとめ:気持ちを込めて、一日の終わりをスペイン語で彩ろう
スペイン語の「おやすみ」の挨拶、いかがでしたか? 基本の「Buenas noches」は、寝る前だけでなく夜の別れ際にも使える万能な言葉ですが、それ以外にも相手への気遣いや愛情を表現する豊かなフレーズがたくさんありました。
「¡Que descanses! (ゆっくり休んでね)」「¡Que duermas bien! (ぐっすり眠ってね)」で相手の疲れを労い、「¡Dulces sueños! (良い夢を)」や「¡Que sueñes con los angelitos! (天使の夢を)」で甘い眠りを願う。そして、「Hasta mañana (また明日)」や「Nos vemos mañana (明日会いましょう)」で次の日の再会を約束する。
これらの表現を、相手との関係性や状況に合わせて使い分けることで、あなたのスペイン語はより自然で、温かい響きを持つようになるでしょう。単に言葉を覚えるだけでなく、そこに心を込めて伝えることが、良好なコミュニケーションの鍵です。
一日の終わりに交わされる挨拶は、その日を穏やかに締めくくり、明日への活力を与えてくれる大切な習慣です。ぜひ今回学んだフレーズを活用して、スペイン語圏の人々との心温まる夜のコミュニケーションを楽しんでくださいね。¡Buenas noches y que descanses!