「スペイン語の発音って難しそう…」と思っていませんか? 実は、英語などに比べると、スペイン語の発音はルールが比較的シンプルで、日本人にとって習得しやすいと言われています。なぜなら、多くの音が日本語のローマ字読みに近く、例外的な読み方が少ないからです。
この記事では、スペイン語の発音をマスターするための第一歩として、絶対に押さえておきたい基本的なルールと15のポイントを、初心者の方にも分かりやすく解説します。アルファベットの読み方から、注意すべき文字の発音、日本人には少し難しい音のコツまで、具体的な単語例を交えながらご紹介。まずはこれらの基礎をしっかり固めて、自信を持ってスペイン語を発音できるようになりましょう!
スペイン語【発音ルール】15のポイント 基礎編
目次
- 1 スペイン語のアルファベットの読み方 (Abecedario)
- 2 スペイン語は日本人と相性良し!基本はそのまま読めばOK
- 3 スペイン語の発音【15のルールと特徴】
- 3.1 1. h は発音しない (h muda)
- 3.2 2. ñ はニャ行 (ña, ñi, ñu, ñe, ño)
- 3.3 3. j と g(+e,i) はハ行 (ja, ji, ju, je, jo / ge, gi)
- 3.4 4. ll と y はジャ行 or ヤ行 (lla, lli, llu, lle, llo / ya, yi, yu, ye, yo)
- 3.5 5. z はサ行 (za, zi, zu, ze, zo) ※thの発音
- 3.6 6. ch はチャ行 (cha, chi, chu, che, cho)
- 3.7 7. b と v は同じ「バ行」の音
- 3.8 8. 語頭のrとrrは巻き舌 (vibrante múltiple)
- 3.9 9. ca, qui, cu, que, co がカ行
- 3.10 10. ga, gui, gu, gue, go がガ行
- 3.11 11. ci と ce はサ行 (※thの発音)
- 3.12 12. 語末の d は弱い「ッ」or 無音
- 3.13 13. 語頭のxはサ行、その他は/ks/
- 3.14 14. 子音の前のmは「ン」 (/m/)
- 3.15 15. l と r は違う音
- 4 まとめ
スペイン語のアルファベットの読み方 (Abecedario)
まずは基本のアルファベット(abecedario アベセダリオ または alfabeto アルファベト)それぞれの読み方(名称)を確認しましょう。
a ア | b ベ | c セ | d デ | e エ | f エフェ |
g ヘ | h アチェ | i イ | j ホタ | k カ | l エレ |
m エメ | n エネ | ñ エニェ | o オ | p ペ | q ク |
r エレ | s エセ | t テ | u ウ | v ウベ | w ウベドブレ |
x エキス | y イェ / イグリエガ |
z セタ |
スペイン語のアルファベットはñ (エニェ) を含めて27文字です。かつては「ch」や「ll」も独立した文字として扱われていましたが、現在は含まれません。
y の名称は、伝統的に「i griega イ グリエガ(ギリシャのイ)」と呼ばれてきましたが、近年、他の文字との整合性から「ye イェ」という名称も推奨されています。スペインではまだ「i griega」と呼ぶ人が主流です。
スペイン語は日本人と相性良し!基本はそのまま読めばOK
スペイン語の発音における最大のポイントは、「基本的には書かれているスペル通りに、ローマ字読みすればOK」という点です。英語のように、同じスペルでも単語によって読み方が変わったり、黙字(発音しない文字)が多かったり、といった複雑さが少ないのが特徴です。
例えば、英語と同じスペルの単語で比較してみましょう。
- auto: 英語 /ɔ́ːṭoʊ/ (オート) → スペイン語 /áu̯to/ (アウト)
- idea: 英語 /aɪdíə/ (アイディア) → スペイン語 /iˈðea/ (イデア)
- circular: 英語 /sə́ːrkjələr/ (サーキュラー) → スペイン語 /θiɾkuˈlaɾ/ または /siɾkuˈlaɾ/ (シルクラル)
このように、スペイン語は見たまま発音できることが多く、母音(a, i, u, e, o)の音も日本語と非常に似ているため、日本人にとっては聞き取りやすく、発音しやすい言語と言えます。
まずは、いくつかの基本的な単語を声に出して読んでみましょう。難しく考えず、ローマ字を読む感覚でどうぞ!
▶️ 発音練習!
- gracias (ありがとう) → グラシアス
- patata (じゃがいも) → パタタ
- mano (手) → マノ
- todo (すべて) → トド
- bien (良い) → ビエン
いかがでしたか? ほとんど読めたのではないでしょうか。基本はこの「ローマ字読み」でOKですが、いくつか注意すべき文字や組み合わせがあります。次のセクションで、その重要な15のポイントを見ていきましょう。

(基本はローマ字読み!日本人には発音しやすい言語です)
スペイン語の発音【15のルールと特徴】
1. h は発音しない (h muda)
スペイン語の h は完全に無音です。「h muda (無音のアチェ)」と呼ばれます。単語のどこにあっても発音しません。
▶️ 発音練習!
- hola (こんにちは) → オラ
- hotel (ホテル) → オテル
- hermano (兄弟) → エルマノ
- hombre (男性) → オンブレ
- huevo (卵) → ウエボ
- hielo (氷) → イエロ
※固有名詞 (Hondaなど) もスペインでは発音しないのが一般的です。
2. ñ はニャ行 (ña, ñi, ñu, ñe, ño)
ñ は、日本語の「ニャ、ニ、ニュ、ニェ、ニョ」に近い音になります。特に「ñi」は日本語の「ニ」とは少し異なり、「nyi」のように舌の中央部を上顎に近づけて発音するイメージです(ただし ñi を含む単語は少ないです)。
▶️ 発音練習!
- España (スペイン) → エスパーニャ
- niño/a (子供) → ニーニョ/ニャ
- año (年) → アーニョ
- mañana (明日/朝) → マニャーナ
- piña (パイナップル) → ピーニャ
3. j と g(+e,i) はハ行 (ja, ji, ju, je, jo / ge, gi)
日本語のハ行に近い音は、j と、g が母音 e, i の前に来る場合です。喉の奥から息を出すような、少し強い「ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ」の音になります。
- ja, ji, ju, je, jo → ハ, ヒ, フ, ヘ, ホ
- ge, gi → ヘ, ヒ
※ g の後ろが a, o, u の場合や、子音の場合はガ行の音になります(ルール10参照)。
▶️ 発音練習!
- Japón (日本) → ハポン
- jefe (上司) → ヘフェ
- jugar (遊ぶ) → フガール
- gente (人々) → ヘンテ
- gigante (巨大な) → ヒガンテ
4. ll と y はジャ行 or ヤ行 (lla, lli, llu, lle, llo / ya, yi, yu, ye, yo)
この二つの音は、スペイン語の中でも地域差が最も大きいものの一つです。伝統的なスペイン(特に北部)では ll を「リャ行」、y を「ヤ行」で区別していましたが、現代のスペインや中南米の多くの地域では、両者を区別せず、同じように「ジャ行」または「ヤ行」(あるいはその中間)で発音します(これをイェイスモ Yeísmo と言います)。
学習者としては、まずは「ジャ行」または「ヤ行」のどちらかで発音できれば通じます。日本語の「ヤ行」より少し摩擦が強い音を意識すると、よりネイティブに近くなります。
▶️ 発音練習!
ll が付く単語:
- llave (鍵) → ジャベ/ヤベ
- lluvia (雨) → ジュビア/ユビア
- calle (通り) → カジェ/カエ
- paella (パエリア) → パエジャ/パエヤ
y が付く単語:
- yo (私) → ジョ/ヨ
- playa (ビーチ) → プラジャ/プラヤ
- ayer (昨日) → アジェール/アイェール
- ayuda (助け) → アジュダ/アユда
5. z はサ行 (za, zi, zu, ze, zo) ※thの発音
スペイン本国の標準発音では、z は常にサ行の音になります。ただし、ただの「サシスセソ」ではなく、舌の先を上下の歯の間に軽く挟んで出す、英語の th (/θ/) のような音です。ブランドの ZARA が「サラ」と発音されるのはこのためです。
※中南米やスペインの一部地域では、この th の音はなく、通常の s と同じ「サ行」で発音されます(これをセセオ Seseo と言います)。
▶️ 発音練習! (スペイン本国式)
- zorro (キツネ) → ソロ (/θo/に近い音)
- zapato (靴) → サпато (/θa/に近い音)
- azul (青) → アスール (/θu/に近い音)
- diez (10) → ディエス (/θ/に近い音)
- vez (回) → ベス (/θ/に近い音)

(スペイン本国では z や c+e,i は英語のthのように発音します)
6. ch はチャ行 (cha, chi, chu, che, cho)
綴り「ch」は、常に日本語の「チャ、チ、チュ、チェ、チョ」と同じ音になります。
▶️ 発音練習!
- coche (車) → コチェ
- leche (牛乳) → レチェ
- chocolate (チョコレート) → チョコラテ
- chica (女の子) → チカ
- mucho (たくさん) → ムーチョ
7. b と v は同じ「バ行」の音
スペイン語では、b と v の発音は区別されません。どちらも基本的に日本語の「バ行」と同じように発音します。英語の「v」のように下唇を噛む必要はありません。
▶️ 発音練習!
- Barcelona (バルセロナ)
- Valencia (バレンシア)
- beber (飲む) → ベベール
- vivir (生きる) → ビビール
- vaso (コップ) → バソ
※厳密には、母音に挟まれた場合などに少し摩擦が弱まる音(両唇摩擦音 /β/)になりますが、最初は「バ行」で発音して問題ありません。
8. 語頭のrとrrは巻き舌 (vibrante múltiple)
スペイン語の r の音には2種類あります。
- 単語の最初に来る r と、rr と重なる場合 → 舌先を上歯茎で強く弾く(巻き舌)音 (vibrante múltiple /ɾɾ/)。日本語のラ行よりずっと強い音。
- 上記以外(母音の間や語末など)の 単独の r → 舌先で上歯茎を軽く1回弾く音 (vibrante simple /ɾ/)。日本語のラ行に近いが、より弾く意識。
特に巻き舌の rr (/ɾɾ/) は日本人学習者にとって難しい音の一つです。練習が必要ですが、これができるとスペイン語らしく聞こえます。
▶️ 発音練習! (巻き舌)
- rojo (赤い) → ッロホ
- rápido (速い) → ッラピド
- perro (犬) → ペッロ
- carro (車 – 中南米) → カッロ
- arroz (米) → アッロス
※ r と rr の発音のコツはこちらの記事も参考にしてください。
9. ca, qui, cu, que, co がカ行
スペイン語のカ行の音は、c と qu を使って表します。
- カ: ca
- キ: qui (※cu+i ではない)
- ク: cu
- ケ: que (※cu+e ではない)
- コ: co
c の後ろに e, i が来るとサ行(またはthの音)になるため(ルール11参照)、キ・ケの音は qu を使います。この qu の u は発音しません。
▶️ 発音練習!
- casa (家) → カサ
- aquí (ここに) → アキ
- cuadro (絵) → クアドロ
- queso (チーズ) → ケソ
- poco (少し) → ポコ
10. ga, gui, gu, gue, go がガ行
ガ行の音は g と gu を使って表します。
- ガ: ga
- ギ: gui (※gi ではない)
- グ: gu
- ゲ: gue (※ge ではない)
- ゴ: go
g の後ろに e, i が来るとハ行の音になるため(ルール3参照)、ギ・ゲの音は gu を使います。この gu の u も発音しません。
▶️ 発音練習!
- gato (猫) → ガト
- guitarra (ギター) → ギターラ
- agua (水) → アグア
- guerra (戦争) → ゲラ
- lago (湖) → ラゴ
※「ü」(ウムラウト付きのu) が使われる「güe」「güi」の場合は u を発音します (例: pingüino ピングイノ – ペンギン)。

(文字と音の関係をしっかり覚えましょう)
11. ci と ce はサ行 (※thの発音)
ルール9で触れたように、c の後ろに e, i が来ると、カ行ではなくサ行の音になります。そして、スペイン本国の標準発音では、これも z と同じく英語の th (/θ/) のような音になります。
※中南米など Seseo の地域では、s と同じ通常の「サ行」で発音されます。
▶️ 発音練習! (スペイン本国式)
- cine (映画館) → シネ (/θi/に近い音)
- cena (夕食) → セナ (/θe/に近い音)
- gracias (ありがとう) → グラシアス (/θia/に近い音)
- cielo (空) → シエロ (/θie/に近い音)
- cocina (台所) → コシナ (/θi/に近い音)
まとめると、スペイン本国式では ce, ci, za, zo, zu が th (/θ/) の音、s は通常の s の音、と区別されます。
12. 語末の d は弱い「ッ」or 無音
単語の最後に来る d の音は、日本語の「ド」のようにはっきり発音されず、非常に弱く、ほとんど聞こえないことが多いです。意識的に発音しようとせず、軽く息を止めるような感じ、あるいは「ドゥッ」とごく短く発音する感じです。
特にマドリードなどでは、語末の d を英語の th (/θ/) のように発音する人もいます (Madrid → マドリース のような感じ)。
▶️ 発音練習!
- Madrid (マドリード) → マドリー(ッ)
- ciudad (都市) → シウダー(ッ)
- verdad (真実) → ベルダー(ッ)
- usted (あなた) → ウステー(ッ)
- salud (健康) → サルー(ッ)
13. 語頭のxはサ行、その他は/ks/
x の発音は、単語中の位置によって異なります。
- 単語の最初 (xilo-, xeno-など): サ行 (/s/) の音になる(例が少ない)。
- 上記以外 (母音の前、子音の前、語末): /ks/ の音になる(例: taxi → タクシー)。
▶️ 発音練習!
- (語頭) xilófono (木琴) → シロフォノ
- (語頭) xenofobia (外国人嫌悪) → セノフォビア
- (母音の前) examen (試験) → エクサメン
- (子音の前) explicar (説明する) → експликар
- (語末) relax (リラックス) → レラックス
14. 子音の前のmは「ン」 (/m/)
m の後ろに p や b などの子音が続く場合、m は「ン」の音(両唇鼻音 /m/)になります。これは、n が子音の前で「ン」になる(歯茎鼻音 /n/)のとは異なり、唇を閉じて発音する「ン」です。
▶️ 発音練習!
- campo (田舎) → カンポ
- también (~もまた) → タンビエン
- importante (重要な) → インポルтанте
- hambre (空腹) → アンブレ
- siempre (いつも) → シエンプレ
15. l と r は違う音
日本人にとって、l (エル /ɾ/) と r (エrレ /ɾ/ または /ɾɾ/) の聞き分けと発音の区別は、最も難しいポイントの一つです。日本語にはこの二つの音の区別がないためです。
- l の音 (/l/): 舌先を上の歯茎の裏あたりにしっかりと付けて発音する。英語の L に近い。
- r の音 (単独 /ɾ/): 舌先で上歯茎を軽く1回弾く。日本語のラ行に近いが、より弾く意識。
- rr の音 (巻き舌 /ɾɾ/): 舌先を上歯茎に当てて、息で連続的に震わせる。
この区別ができないと、意味が変わってしまう単語(例: pero ペロ「しかし」 vs perro ペッロ「犬」)もあるため、正確なコミュニケーションのためには練習が不可欠です。
※発音の違いとコツについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶️ 発音練習!
l の単語:
- lado (側) → ラド
- luz (光) → ルス
- final (最後) → フィナル
r の単語:
- caro (高価な) → カро
- hora (時間) → ора
- flor (花) → флор
まとめ
スペイン語の発音の基本的なルールと、特に注意すべき15のポイントについて解説しました。いかがでしたか? 全体としてはローマ字読みに近い部分が多いですが、h, ñ, j, g, ll, y, z, c, x, r/rr など、日本語にはない音や、英語とは異なる読み方をする文字があることを理解いただけたかと思います。
これらのルールを一度に完璧に覚える必要はありません。まずは基本的な「ローマ字読み」を意識しつつ、今回学んだポイントを少しずつ確認しながら、積極的に声に出して練習することが大切です。単語やフレーズを覚えていく中で、自然と正しい発音が身についていきます。
正確な発音は、スムーズなコミュニケーションの第一歩です。もし発音に迷ったら、いつでもこの記事を読み返して、基本を確認してください。何度も練習を重ねて、自信を持ってスペイン語を話せるようになりましょう! ¡Ánimo! (アニモ!頑張って!)