今回は人生の節目に力を与えてくれるようなスペイン語のことわざと、著名人が残したスペイン語の名言をご紹介します。
何か新しいことを始める時や、物事がなかなか思うように進まない時、これらの言葉がきっと心を奮い立たせてくれるはずです。
やる気を与えてくれる「スペイン語のことわざ・名言」
目次
スペイン語のことわざ
スペイン語で「諺(ことわざ)」は refrán(レフラン)。日本のようにスペインにも古くから人々に伝え継がれていることわざがあります。
今回はその中でもやる気を与えてくれるようなポジティブな言葉に注目してみました。モチベーションを上げてくれるひとことや、失敗してもまた頑張ろうと思えるようなフレーズ、または教訓となるメッセージです。
人生には山も谷もあるもの。スペイン語を勉強している間にも、立ち止まってしまったり悩んでしまったりすることがあるかもしれません。そんな時には、ここでご紹介するスペイン語の言葉を思い出してください。
やる気を与えてくれるスペイン語のことわざ
遅くなっても、やらないよりはいい
Más vale tarde que nunca.
マス バレ タルデ ケ ヌンカ
何もやらないで後悔するよりも何かをやって経験を積むほうがいい、という意味の言葉です。文法的には más 〜 que 〜「〜より〜」という比較級構文が使われている一文。短い言葉でわかりやすく覚えやすいことわざです。
何かをやってみようという思いがあれば、いつだって遅いことはありません。行動してみれば必ず得るものがあるはず。年齢や経験を理由に躊躇せずに、トライしてみる勇気や好奇心を持ちましょう。
追いかければ手に入れられる
El que la sigue la consigue.
エル ケ ラ シゲ ラ コンシゲ
el que la sigue は「追いかける人」、consigue は「手に入れる」という意味です。追いかける人は手に入れる、つまり、前に進めばそれが結果に繋がっていくことを表しています。
何事も「為せば成る」ものです。スペイン語の勉強にも同じことが言えますね。スペイン語を覚えたい!話したい!上達したい!と思って続けていれば、きっと目標に近づいていけるでしょう。
毎日必ず新しい学びがある
Nunca te acostarás sin saber una cosa más.
ヌンカ テ アコスタラス シン サベール ウナ コサ マス
直訳すると「もう1つのことを知らずして寝てはいけない」。これは、1日が終わる前に必ず知ることがあるという気づきを教えてくれる言葉です。
誰でも、毎日何か新しいことを1つ学ぶことができます。それが特別大きな内容ではなくても、たとえ些細なものだとしても、日々新たな知識を得られるものです。その学びをコツコツと積み重ねていくことが大事ですよ。
手のひらの上の1羽の鳥は空を飛ぶ100羽より価値がある
Más vale pájaro en mano que ciento volando.
マス バレ パハロ エン マノ ケ シエント ボランド
これも más 〜 que 〜の比較級構文が使われている文です。直訳すると「100羽の飛んでいる鳥よりも手に止まっている1羽の鳥のほうが価値あるものだ」。
あなたが既に手にしているものに価値があると教えてくれる言葉です。それ以上を求めれば「二兎を追う者は一兎も得ず」で、自分のものにはならないかもしれません。
今自分が持っているものを大切にできれば、そして既にあることに感謝できれば、きっともっと幸せになれるでしょう。
先延ばしにしているとチャンスは来ない
Por la calle del ‘ya voy’ se va a la casa del ‘nunca’.
ポル ラ カジェ デル ジャ ボイ セ バ ア ラ カサ デル ヌンカ
これはちょっと捻り(ひねり)のあることわざです。直訳すると「“ああ、やるよ”の道を行くと、“決してやらない”の家にたどり着く」。
意味としては「ああ、いつかやるよ」と言いながら先延ばしにしても、その行く先にはあるのは「決してやらない」という結末だけだということです。面白い表現ですよね。
言い換えれば、今やらないと2度とチャンスは訪れないという意味です。行動を起こすなら、「いつか」ではなく「今!」だと考えましょう。
落ち込んだ時に思い出したいスペイン語のことわざ
1つのドアが閉まった時、もう1つのドアが開く
Cuando una puerta se cierra, otra se abre.
クアンド ウナ プエルタ セ シエラ, オートラ セ アブレ
《cuando+直接法》を使った「〜の時〜」という構文で、「1つのドアが閉まった時にもう1つのドアが開く」という意味です。
目の前の道が閉ざされてしまったとしても、そこで諦めてしまわないこと。その時きっと、もう1つの違うドアが開いているはずだから…。探していけば必ず希望は見えてきます。
優秀なハンターすらウサギを逃す
Al mejor cazador, se le va la liebre.
アル メホール カサドール, セ レ バ ラ リブレ
直訳すると「もっとも腕の良いハンターでもウサギを見失ってしまう」。これは、優れた者でも時には失敗することがあるという例えです。
日本語のことわざでいうところの「猿も木から落ちる」「弘法にも筆の誤り」と同じですね。油断しないようにという戒めとしても捉えられていますが、誰でも失敗するものだと考えれば励ましのひとことにもなる言葉です。
福をもたらさぬ禍はなし
No hay mal que por bien no venga.
ノー アイ マル ケ ポル ビエン ノー ベンガ
接続法を使った一文で、直訳すると「良いものをもたらさないような悪いことはない」。言い換えると「どんな悪いことにも良い面はある」という意味です。
すべての雲には希望の光が射すもの。最悪だと思う出来事にも幸せをもたらす何かがあるはず。日本のことわざで言うと「失敗は成功のもと」「災い転じて福となす」と似たことわざで、前に進む勇気を与えてくれます。
100年続く不幸はない
No hay mal que cien años dure.
ノー アイ マル ケ シエン アニョス ドゥレ
こちらも no hay mal から始まる言葉。dure は「続く」という動詞 durar の接続法です。意味は「100年も続くような悪いことはない」。つまり、どんな不幸や困難も長くは続かないということわざです。
辛いと感じる時にはその状況がまるで永遠に続くかのように感じてしまうものです。不安にさいなまれて、出口がないような気がしてしまうかもしれません。
でも、明けない夜はありません。やまない雨もありません。その辛さはずっと続かないはずです。いつか希望が見えてくると信じてください。
悪天候の時こそ、笑顔を
Al mal tiempo, buena cara.
アル マル ティエンポ, ブエナ カラ
思わしくない状況の時ほど良い顔でいよう、という励ましの言葉です。大変な時には誰もが苦しい顔をしてしまいがちですが、そんな時こそ微笑みを忘れないでいることが幸せへの近道なのかもしれません。
ポジティブに気持ちを切り替えると物事を好転させていくことができます。大切なのは、発想の転換。人生、雨降りの日も足元が悪い時もあるけれど、前向きにいきましょう!
生きるヒントとなる著名人の名言
続いては、スペインを代表する著名人の名言をいくつか見ていきましょう。人生に迷った時や立ち止まってしまった時にヒントを与えてくれるような言葉です。
「助言をどう捉えるか」劇作家:ロペ・デ・ベガ
No hay cosa más fácil que dar consejo ni más difícil que saberlo tomar.
ノー アイ コサ マス ファシル ケ ダル コンセホ ニー マス ディフィシル ケ サベルロ トマール
アドバイスを与えることほど簡単なことはなく、アドバイスをどう受け止めるかほど難しいものはない
スペインの文芸黄金世紀といわれる17世紀に活躍し、スペイン最高の劇作家と評価されたロペ・デ・ベガ(Lope de Vega)の名言です。
誰かにアドバイスを与えるのは簡単なこと。それよりもアドバイスを受ける側のほうがよっぽど難しいもの。そのアドバイスをどのように受け止め、どう活かしていくかがその後の発展に繋がっていくということです。
自分にとって何が大事なのかを見極め、謙虚になって教えを得るのも大事ですね。
「人生は続く」詩人:アントニオ・マチャード
Hoy es siempre todavía.
アイ エス シエンプレ トダビア
人生は常に続いていく
セビリア出身の詩人アントニオ・マチャード(Antonio Machado)が残した言葉です。
直訳すると「今日はまだずっと」。詩的な表現なのでそのままの意味で解釈するとちょっとわかりづらいかもしれませんね。これは、今日という日が続いていく、ということを表しています。
人生はここで終わらずまだ先がある。だから、諦めないでください…。
アントニオ・マチャードの詩としては、次の言葉もとても有名です。
Caminante, no hay camino, se hace camino al andar.
カミナンテ, ノー アイ カミーノ, セ アセ カミーノ アル アンダール
旅人よ。道はない。一歩踏み出した時に道は作られるのだ
新しい何かに挑戦している人の背中を押してくれるような素敵な言葉ですね。旅に出た先にはラクに通れる道がないかもしれません。でも、だからといって進む道がないわけではないのです。
あなたが一歩前へ進めば、それが道となっていくもの。自分の歩みで作られた道は、きっと誇らしく素晴らしいものとなるでしょう。
「進歩とは…前進とは…」哲学者:ホセ・オルテガ・イ・ガセット
Sólo cabe progresar cuando se piensa en grande, sólo es posible avanzar cuando se mira lejos.
ソロ カベ プログレサール クアンド セ ピエンサ エン グランデ, ソロ エス ポシブレ アバンサール クアンド セ ミラ レホス
進歩とは広く考えを向けた時にのみ可能であり、前進とは遠くに目を向けた時にのみ可能である
スペインの哲学者であり『ドン・キホーテをめぐる思索』(Meditaciones del Quijote:1914年)、『大衆の反逆』(La rebelión de las masas:1929年)の著者としても知られるホセ・オルテガ・イ・ガセット(José Ortega y Gasset)の言葉です。
前へ進む方法は、視野を広く持つこと。何事も向上させていくには、思考や発想力を狭くしないことが大切です。
「蹄鉄を100回打つのがコツ」哲学者:ミゲル・デ・ウナムーノ
El modo de dar una vez en el clavo es dar cien veces en la herradura.
エル モード デ ダール ウナ ベス エン エル クラボ エス ダール シエン ベセス エン ラ エラドゥラ
釘を1回打つには蹄鉄を100回打つのがコツだ
この言葉は、哲学者であり詩人、劇作家でもあるミゲル・デ・ウナムーノ(Miguel de Unamuno)のものです。必要な釘を打つためのコツは、蹄鉄を100回打つことだと言っています。つまり、それだけの実践、経験、忍耐が必要だということです。
「インスピレーションは努力によって得られる」画家:パブロ・ピカソ
La inspiración existe, pero tiene que encontrarte trabajando.
ラ インスピラシオン エキシテ, ペロ ティエネ ケ エンコントラルテ トラバハンド
インスピレーションは存在する、しかしそれは努力によって得られるものだ
マラガ出身のパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)。20世紀最大の画家と言われるピカソは数々の名言を残しています。「
インスピレーションは存在する、だがそれは働くことで見つかるものだ」。これは、ひらめきや神からの啓示は、努力しているからこそ得られるものであって、甘んじてラクしているだけでは何も変わらないという言葉です。
ピカソの言葉には他にも、行動が成功に繋がるのだというメッセージがあります。何もしないままでいるよりも、まずは踏み出す一歩から。次の言葉も、ぜひ覚えておいてください。
La acción es la clave fundamental para todo éxito
ラ アクシオン エス ラ クラベ フンダメンタル パラ トド エクシト
行動こそが全ての成功への鍵となる
「立ち上がる者は偉大だ」思想家:コンセプション・アレナル
El hombre que se levanta es aún más grande que el que no ha caído.
エル オンブレ ケ セ レバンタ エス アウン マス グランデ ケ エル ケ ノー ア カイード
立ち上がる者は、転んだことがない者よりも偉大だ
コンセプション・アレナル(Concepción Arenal)は、思想家、ジャーナリスト、劇作家、法学士と多才な肩書きを持っていた女性です。
男女平等を主張し、スペインにおけるフェミニズムの先駆者として知られ、スペインの大学に初めて通った女性でもあります。
そんな彼女の名言は「立ち上がる者は、転んだことがない者よりも偉大だ」。失敗したことがない人よりも失敗をしたあとに立ち上がった人のほうが素晴らしいという意味です。
転んだらまた立ち上がればいい。つまずくことを恐れないで挑戦する意義を教えてくれる言葉です
スペインのことわざに関する会話例
最後に、スペインのことわざを伝える会話例をご紹介します。実際の会話でどんな時にことわざを活用できるのか参考にしながら読んでみてください。
Sachiko:Estoy pensando en importar ropa japonesa a España.
エストイ ペンサンド エン インポルタール ロパ ハポネサ ア エスパーニャ
私、日本のファッションをスペインに輸入する仕事をしようと考えているんです。
Laura:Buena idea. Entonces, ¿te vas a independizar y vas a montar tu propio negocio?
ブアナ イデア. エントンセス, テ バス ア インデペンディサール イ バス ア モンタール トゥ プロピオ ネゴシオ
いいですね。自分で独立して仕事をするんですか?
Sachiko:Esa es mi intención. No sé si me irá bien, pero siempre ha sido mi sueño.
エサ エス ミ インテンシオン. ノー セ シー メ イラ ビエン, ペロ シエンプレ ア シード ミ スエニョ
そのつもりです。うまくいくかわからないのですが、ずっと夢だったので。
Laura:Es admirable que te esfuerces por conseguir lo que quieres.
エス アドミラブレ ケ テエ スフエルセス ポル コンセギール ロ ケ キエレス
やりたかったことに実際挑戦するのは、すばらしいことですね!
Sachiko:La verdad es que también tengo algo de miedo de empezar un trabajo nuevo ahora: ya tengo más de treinta años…
ラ ベルダッ エス ケ タンビエン テンゴ アルゴ デ ミエド デ エンペサール ウン トラバホ ヌエボ アオラ: ジャ テンゴ マス デ トレインタ アニョス
正直にいうと、もう30歳を過ぎているし、今から新しい仕事を始めることに少し不安もあるんですけど…。
Laura:¡Pero, ¿qué dices?! ¡Si tú todavía eres muy joven!
ペロ, ケ ディセス? シー トゥ トダビア エレス ムイ ホーベン
何を言ってるんですか!あなたの年齢ではまだまだ若いじゃないですか。
En España tenemos un refrán que dice “más vale tarde que nunca”. La edad no es importante.
エン エスパーニャ テネモス ウン レフラン ケ ディセ マス バレ タルデ ケ ヌンカ. ラ エダッ ノー エス インポルタンテ
スペインには「遅くても何もしないよりはいい」ということわざがあります。年齢は関係ないんですよ。
Sachiko: Es verdad. Me gustaría convertirme en un puente entre España y Japón.
エス ベルダッ. メ グスタリア コンベルティルメ エン ウン プエンテ エントレ エスパーニャ イ ハポン
そうですね。スペインと日本の架け橋になることができたら嬉しいです。
Laura:¡Ánimo! Yo apoyo tu decisión.
アニモ. ジョ アポジョ トゥ デシジオン
頑張ってください!あなたの決断を応援しています。
おわりに
ことわざは短くて覚えやすいものです。そして、ちょっとしたひとことの中に、心をふっと軽くしてくれるような不思議な力があります。
スペイン語の学習のためだけでなく、日常生活の中での人間関係や困難な状況に対する新たな視点を知ることもできるのではないでしょうか。
スペイン語を学ぶことは、新たな言葉を覚え、そのうえ異なる文化や思考に触れることでもあります。これらのスペイン語を通して、自分の意識や表現力をさらに高めていってください。