スペイン語の最重要キー「que」完全攻略ガイド!関係代名詞・副詞の使い方を例文豊富に徹底解説【初心者から上級者まで】

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スペイン語の最重要キー「que」完全攻略ガイド!関係代名詞・副詞の使い方を例文豊富に徹底解説【初心者から上級者まで】

スペイン語を学び始めると、必ず出会う単語「que」。一見シンプルながら、その用途の広さと重要性に驚かされることでしょう。「何?」という意味の疑問詞としてだけでなく、関係代名詞や関係副詞、さらには接続詞としても大活躍する「que」は、スペイン語の文章をスムーズに繋ぎ、表現を豊かにするためのまさに「鍵」となる存在です。しかし、その多機能性ゆえに、どのように使い分ければ良いのか戸惑う学習者の方も少なくありません。この記事では、スペイン語の「que」の中でも特に重要な関係詞としての用法に焦点を当て、その基本ルールから応用テクニックまで、豊富な例文とともに徹底的に解説します。初心者の方にも分かりやすく、そして中級以上の方には知識の整理とさらなるステップアップのヒントとなるよう、丁寧に紐解いていきます。この記事を読み終える頃には、「que」に対する苦手意識がなくなり、自信を持って使いこなせるようになっているはずです。さあ、一緒にスペイン語表現の扉を開きましょう!

目次

スペイン語「que」とは? – まず押さえるべき基本ルールと驚きの万能性

スペイン語の「que」は、英語における “that”, “which”, “who”, “whom” といった関係代名詞の役割を一手に引き受けることができる、非常に便利な単語です。まずは、この万能選手「que」の基本的な特徴と、なぜスペイン語学習者にとって必須なのかを見ていきましょう。

「que」の最大の魅力:形が変わらない!

スペイン語の名詞や形容詞は、性(男性・女性)と数(単数・複数)によって形が変化するのが特徴ですが、関係代名詞の「que」は、先行詞(queが説明する名詞)が男性名詞であろうと女性名詞であろうと、単数であろうと複数であろうと、一切形が変わりません。これは学習者にとって非常に嬉しいポイントです。

例文で確認:

  • El libro que leo es interesante. (私が読んでいるは面白い)
    先行詞: El libro (男性単数名詞)
  • La casa que veo es grande. (私が見ているは大きい)
    先行詞: La casa (女性単数名詞)
  • Los coches que me gustan son rojos. (私が好きなは赤い)
    先行詞: Los coches (男性複数名詞)
  • Las flores que compré son bonitas. (私が買ったはきれいだ)
    先行詞: Las flores (女性複数名詞)

このように、先行詞の性数に関わらず「que」の形は一定です。覚えることが一つ減るのは助かりますね。

注意点:「que」自体は変わらないが、他は変わる!

「que」自体は不変でも、油断は禁物です。関係詞節内の動詞の活用や、先行詞に係る冠詞、形容詞などは、通常通り先行詞の性・数に一致させる必要があります。

  • 「que」の前に定冠詞 (el, la, los, las) が付く場合、これらは先行詞の性・数に一致します。(詳しくは後述)
  • 「que」に続く動詞は、先行詞が関係詞節の中でどのような役割を果たすか(主語なのか、目的語なのか)によって、先行詞自身の人称や数、あるいは文脈に応じた時制に活用されます。
queの基本ルール

「que」は変化しないが、周囲の要素は変化する

「que」が指し示すもの:先行詞

関係代名詞「que」は、その前にある名詞や代名詞(これを先行詞 – antecedente と呼びます)を詳しく説明する節(関係詞節)を導きます。先行詞は、人、物、場所、抽象的な概念など、さまざまです。

例文: La película que vimos anoche fue muy emocionante. (私たちが昨夜見た映画はとても感動的だった。)

  • 先行詞: La película (映画)
  • 関係詞節: que vimos anoche (私たちが昨夜見た)

この関係詞節が「どんな映画なのか」を具体的に説明しています。

関係代名詞「que」の格:主格、目的格、補語

「que」は、関係詞節の中で主語、直接目的語、間接目的語、または補語の役割を果たすことができます。英語のように “who” (主格), “whom” (目的格) のように形が変わらないため、文脈から判断する必要があります。

「que」の役割を見抜こう:

  • 主格の「que」: El estudiante que estudia mucho saca buenas notas. (たくさん勉強する学生は良い成績を取る)
    → 「que」は関係詞節「estudia mucho」の主語。El estudiante estudia mucho.
  • 直接目的格の「que」: La carta que escribí es para mi abuela. (私が書いた手紙は祖母のためだ)
    → 「que」は関係詞節「escribí」の直接目的語。Yo escribí la carta.
  • 前置詞の目的語としての「que」: (これは後ほど詳しく解説しますが、例として)
    La ciudad en la que vivo es bonita. (私が住んでいるは美しい)
    → 「que」は前置詞「en」の目的語。Vivo en la ciudad.

このように、「que」は非常に柔軟な働きをします。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、多くの例文に触れることで自然と理解できるようになります。

【実践編】物事を描写する「que」– 日常会話からビジネスまで役立つ例文集

ここからは、先行詞が「物事」(人以外)の場合の「que」の使い方を、具体的な例文を交えながら見ていきましょう。英語の “which” や “that” に相当する基本的な用法から、前置詞と組み合わせて使われる関係副詞的な用法まで、幅広くカバーします。

基本の「que」:先行詞が「物・事」の場合 (英語の which / that)

最も基本的な「que」の用法は、物や事柄を説明する関係詞節を導くものです。この場合、「que」は関係詞節の中で主語または目的語の役割を果たします。

例1:que が関係詞節の主語になる場合

Estoy buscando un restaurante que sirva buena paella.

日本語訳: 美味しいパエリアを出すレストランを探しています。

解説:

  • 先行詞: un restaurante (レストラン)
  • 関係詞節: que sirva buena paella (美味しいパエリアを出す)
  • 「que」は関係詞節の中で主語の役割。「El restaurante sirve buena paella.」の「El restaurante」に相当します。
  • 動詞「sirva」は接続法現在形。これは「探している」時点ではまだそのレストランが具体的に特定されておらず、そのような特徴を持つ不特定のレストランを求めているニュアンスを表すためです。

例2:que が関係詞節の目的語になる場合

El informe que preparaste fue muy útil.

日本語訳: 君が準備したレポートはとても役に立ったよ。

解説:

  • 先行詞: El informe (レポート)
  • 関係詞節: que preparaste (君が準備した)
  • 「que」は関係詞節の中で直接目的語の役割。「Tú preparaste el informe.」の「el informe」に相当します。

元の記事にあった例文も見てみましょう。

Estoy leyendo un libro que es muy interesante.

日本語訳: 私はとても面白い本を読んでいます。

解説: 先行詞は「un libro」。関係詞節「que es muy interesante」の主語が「que」(=un libro)。


Estoy leyendo dos novelas que son muy divertidas.

日本語訳: 私は2冊のとても楽しい小説を読んでいます。

解説: 先行詞は「dos novelas」。関係詞節「que son muy divertidas」の主語が「que」(=dos novelas)。動詞が「son」と複数形になっている点に注意。


Estoy leyendo una novela que debes leer tú también.

日本語訳: 私が読んでいる小説、君も読んでみたら。

解説: 先行詞は「una novela」。関係詞節「que debes leer tú también」の目的語が「que」(=una novela)。「Tú debes leer la novela también.」


Estoy leyendo dos libros que tú también debes leer.

日本語訳: 私が読んでいる2冊の本、君も読んだら。

解説: 先行詞は「dos libros」。関係詞節「que tú también debes leer」の目的語が「que」(=dos libros)。

物事を描写するque

「que」が様々なモノ・コトを結びつける

前置詞 + (定冠詞) + 「que」:より詳細な情報を加える

「que」は前置詞と組み合わせて使うことで、場所、時間、方法、理由など、より詳細な情報を表現することができます。この場合、先行詞が物事であれば、前置詞の後に定冠詞 (el, la, los, las) を伴うことが一般的ですが、省略されることもあります。定冠詞は先行詞の性・数に一致します。

この形は、英語の関係副詞 “where” (場所), “when” (時), “why” (理由) や “in which”, “on which”, “with which” などの「前置詞 + which」の形に似ています。

La casa en (la) que vivimos está cerca del centro. (元の例文より)

日本語訳: 私たちが住んでいる家は町の中心に近い。

解説:

  • 先行詞: La casa (家)
  • 前置詞: en (~の中に、~で)
  • 関係詞: (la) que 「la」は先行詞「La casa」が女性単数だから。省略可能。
  • 意味: 「その家の中で私たちは住んでいる」→ 私たちが住んでいる家
  • この場合、donde (どこで) を使って La casa donde vivimos… とも言えます。

El bolígrafo con (el) que escribo es un regalo de mi novia. (元の例文より)

日本語訳: 私が書くのに使うペンは彼女からのプレゼントだ。

解説:

  • 先行詞: El bolígrafo (ペン)
  • 前置詞: con (~を使って、~で)
  • 関係詞: (el) que 「el」は先行詞「El bolígrafo」が男性単数だから。省略可能。
  • 意味: 「そのペンを使って私は書く」→ 私が書くのに使うペン

他の前置詞との組み合わせも見ていきましょう。

前置詞 + (定冠詞) + que のバリエーション

de que (~についての、~の):

El tema del que (de + el que) hablamos es muy complejo.

日本語訳: 私たちが話しているテーマは非常に複雑だ。

解説: 先行詞は「El tema」。Hablamos del tema. (そのテーマについて話す)

para que (~のための):

El examen para el que me estoy preparando es muy difícil. (元の例文より)

日本語訳: 私が準備している試験はとてもむずかしい。

解説: 先行詞は「El examen」。Me estoy preparando para el examen. (その試験のために準備している)

por que (~の理由で、~を通って):

La razón por (la) que no vine fue porque estaba enfermo.

日本語訳: 私が来なかった理由は病気だったからです。

解説: 先行詞は「La razón」。No vine por esa razón. (その理由来なかった)。
※注意: 「porque (なぜなら)」とは異なります。「por que」は「前置詞 por + 関係代名詞 que」です。

a que (~への、~に):

El problema al que (a + el que) nos enfrentamos es serio.

日本語訳: 私たちが直面している問題は深刻だ。

解説: 先行詞は「El problema」。Nos enfrentamos al problema. (その問題直面する)

sobre que (~についての):

Los problemas sobre los que estamos hablando tienen solución. (元の例文より)

日本語訳: 私たちが話している問題は解決策がある。

解説: 先行詞は「Los problemas」。Estamos hablando sobre los problemas. (それらの問題について話している)

desde que (~からの場所・時点):

El lugar desde (el) que (または donde) te escribo es un refugio de montaña. (元の例文より)

日本語訳: 私があなたに手紙を書いている場所は、山の隠れ家です。

解説: 先行詞は「El lugar」。Te escribo desde el lugar. (その場所から書いている)

定冠詞 (el, la, los, las) を伴うか伴わないかは、文脈や話者の好み、地域差などによって変わることがあります。一般的には、より明確に先行詞を指し示したい場合や、フォーマルな文体では定冠詞が使われる傾向にあります。

【実践編】人物をいきいきと描写する「que」– コミュニケーションが深まる表現テクニック

次に、先行詞が「人」の場合の「que」の使い方です。この場合も「que」は英語の “who”, “whom”, “that” に相当する働きをします。また、前置詞を伴う場合には、quien (単数形) / quienes (複数形) という関係代名詞も選択肢に入ってきます。

基本の「que」:先行詞が「人」の場合 (英語の who / that)

物事を説明する時と同様に、「que」は人を説明する関係詞節を導き、その中で主語または目的語の役割をします。

例1:que が関係詞節の主語になる場合

El hombre que habla español es mi profesor.

日本語訳: スペイン語を話す男性は私の先生です。

解説: 先行詞は「El hombre」。関係詞節「que habla español」の主語が「que」(=El hombre)。


例2:que が関係詞節の目的語になる場合

La mujer que conociste ayer es mi tía.

日本語訳: 君が昨日会った女性は私の叔母です。

解説: 先行詞は「La mujer」。関係詞節「que conociste ayer」の直接目的語が「que」(=La mujer)。「Tú conociste a la mujer ayer.」

(人を直接目的語に取る場合、動詞の前に前置詞 ‘a’ がつくことがありますが、関係代名詞 ‘que’ で受ける場合は、この ‘a’ は通常現れません。)

元の記事の例文も見てみましょう。

Tengo un hermano que vive en Madrid.

日本語訳: 兄弟が1人マドリードに住んでいます。

解説: 先行詞は「un hermano」。関係詞節「que vive en Madrid」の主語が「que」。


Tengo unas amigas que viven en Madrid.

日本語訳: 姉妹が何人かマドリードに住んでいます。(※元の訳は「姉妹」となっていますが、「amigas」は通常「女友達」です。ここでは元の訳に従います)

解説: 先行詞は「unas amigas」。関係詞節「que viven en Madrid」の主語が「que」。動詞「viven」が複数形になっている点に注意。


Tengo una hermana que tú no conoces todavía.

日本語訳: 君がまだ知らない姉妹が1人いる。

解説: 先行詞は「una hermana」。関係詞節「que tú no conoces todavía」の目的語が「que」。


Tengo unos amigos que tú no conoces todavía.

日本語訳: 君がまだ知らない(男の)友達が何人かいる。(※元の訳は「姉妹」となっていますが、「amigos」は通常「男友達」または男女混合の「友達」です)

解説: 先行詞は「unos amigos」。関係詞節「que tú no conoces todavía」の目的語が「que」。

人物を描写するque

「que」や「quien」で人々を繋ぐコミュニケーション

前置詞 + 「que」 / 「quien(es)」:特定の人物との関係性を示す

先行詞が人の場合で、前置詞を伴う関係詞節を作る際には、「que」の代わりに quien (単数) / quienes (複数) を使うことがよくあります。特に前置詞が1音節 (a, con, de, en, porなど) の場合に好まれます。「que」を使う場合は、物事の時と同様に定冠詞 (el, la, los, las) を伴うことが多いです (例: a la que, con el que)。

どちらを使っても文法的に正しい場合が多いですが、ニュアンスや慣習的な使い分けがあります。

La persona a la que voy a visitar es muy importante. (元の例文より)

La persona a quien voy a visitar es muy importante. (元の例文より)

日本語訳: 訪問する予定の人物はとても重要です。

解説:

  • 先行詞: La persona (人物)
  • 前置詞: a (~に)
  • 関係詞: a la que または a quien
  • 意味: 「その人物私は訪問する予定だ」→ 私が訪問する予定の人物
  • 「quien」は先行詞が単数なので単数形。もし先行詞が複数 (Las personas) なら「a las que」または「a quienes」となります。

La persona con (la) que estamos hablando es una actriz famosa. (元の例文より)

La persona con quien estamos hablando es una actriz famosa. (元の例文より)

日本語訳: 私たちが一緒に話している人は有名な女優です。

解説:

  • 先行詞: La persona
  • 前置詞: con (~と)
  • 関係詞: con (la) que または con quien
  • 「con la que」の「la」は省略されることもあります。

その他の前置詞との組み合わせ(元の例文より):

前置詞 + que/quien(es) のバリエーション (人)

para que / para quien(es) (~のための、~にとっての):

El señor para el que trabajo es un comerciante italiano.

El señor para quien trabajo es un comerciante italiano.

日本語訳: 私が働く店の主はイタリアの商人です。

解説: 先行詞「El señor」。Trabajo para el señor.

de que / de quien(es) (~についての、~の出身の):

Las personas de las que estoy hablando son muy trabajadoras.

Las personas de quienes estoy hablando son muy trabajadoras. (※元の例文では “para quienes” となっていますが、文脈から “de quienes” が適切と思われます。「~について話す」は “hablar de” です。元の例文の訳「私たちが噂している人たち」に合わせると「de」が自然です。)

日本語訳: 私たちが話している(噂している)人たちはとても働き者だ。

解説: 先行詞「Las personas」。Estoy hablando de las personas. 動詞が「estoy hablando (複数形ではない)」なので、「私が話している」がより自然です。もし主語が「私たち」なら「de quienes estamos hablando」となります。

con que / con quien(es) (~と一緒に):

Los chicos con los que salimos ahora son muy simpáticos.

Los chicos con quienes salimos ahora son muy simpáticos.

日本語訳: 私たちが一緒に出かける男の子たちはとても感じがいい。

解説: 先行詞「Los chicos」。Salimos con los chicos.

「que」と「quien(es)」の使い分けのポイント (前置詞がある場合):

  • quien(es): 人を指すことが明確で、よりフォーマルな響きを持つことがあります。特にコンマで区切られる非制限用法(後述)では「quien(es)」が好まれます。
  • 前置詞 + 定冠詞 + que: こちらも人を指す場合に広く使われます。会話ではこちらの方が自然に響くこともあります。定冠詞があるため、先行詞の性・数が明示されます。

どちらを使うかは、文体、ニュアンス、地域差などにもよりますが、基本的にはどちらも正しいと考えて良いでしょう。多くのスペイン語に触れる中で、自然な使い分けが身についていきます。

「que」だけじゃない!スペイン語の関係詞ファミリー徹底比較 (el que, lo que, quien, cuyo, donde)

これまで見てきた万能な「que」以外にも、スペイン語にはいくつかの関係詞があります。これらを理解し、適切に使い分けることで、より正確で自然なスペイン語表現が可能になります。「que」との違いや、それぞれの特徴を比較しながら見ていきましょう。

定冠詞付きの「que」: el que, la que, los que, las que

「que」の前に定冠詞 (el, la, los, las) が付いた形です。これらは先行詞の性・数に一致します。主な用法は以下の通りです。

  • 先行詞が省略されている場合: 「~する人」「~するもの」という意味を表します。英語の “the one(s) who/which”, “he who”, “those who/which” に近いです。

    No quiero este libro, quiero el que me recomendaste.

    日本語訳: この本はいりません、あなたが勧めてくれたものが欲しいです。(el que = el libro que)

    Las que llegaron tarde no pudieron entrar.

    日本語訳: 遅れてきた人たち(女性たち)は入れなかった。(Las que = Las personas que)

  • 前置詞の後で先行詞を明確にする場合: 特に先行詞が複雑な場合や、複数の名詞があってどれを指すか明確にしたい場合に使われます。先行詞が人の場合は「quien(es)」も使えますが、「el/la/los/las que」も一般的です。

    Hablé con el director, el que tomó la decisión final.

    日本語訳: 私は部長と話しました、最終決定を下したその人とです。

    La mesa sobre la que está el florero es nueva.

    日本語訳: 花瓶が乗っているそのテーブルは新しい。

中性の関係代名詞: lo que

「lo que」は、先行詞が具体的な名詞ではなく、文全体、状況、アイデア、または抽象的な「こと」「もの」を指す場合に使われます。英語の “what” (= the thing that/which) や、文全体を受ける関係代名詞 “which” に近いです。「lo que」は常に単数扱いとなります。

「lo que」の主な用法:

  • Lo que dices no es verdad. (君が言うことは本当ではない)
    解説: 「dices(君が言う)」という行為や内容全体を指します。
  • No entiendo lo que pasó. (何が起こったの理解できない)
    解説: 「pasó(起こった)」という出来事全体を指します。
  • Lo que más me gusta de esta ciudad es su ambiente. (この街で私が一番好きなところはその雰囲気だ)
    解説: 「más me gusta de esta ciudad(この街で一番好き)」という抽象的な事柄を指します。
  • Llegó tarde, lo que enfadó al jefe. (彼は遅刻した、そのことが上司を怒らせた)
    解説: 前の文全体「Llegó tarde(彼が遅刻したこと)」を指します。この用法は英語の “, which” に近いです。

人を指す関係代名詞: quien / quienes

「quien」(単数形)と「quienes」(複数形)は、もっぱら人を先行詞とする関係代名詞です。「que」も人を指せますが、「quien(es)」はより明確に人を指し示すことができます。

主な使われ方:

  • 前置詞の後:既に説明した通り、前置詞を伴う場合によく使われます。

    Los estudiantes a quienes di la clase son muy inteligentes.

    日本語訳: 私が授業をした学生たちはとても賢い。

  • 非制限用法(コンマで区切られる場合): 先行詞について補足的な説明を加える場合、コンマで区切って「quien(es)」がよく用いられます。

    Mi vecino, quien es médico, me ayudó mucho.

    日本語訳: 私の隣人(その人は医者なのだが)は私をとても助けてくれた。

    この場合、「que」を使うことも可能ですが (Mi vecino, que es médico…)、「quien」の方がややフォーマルで、先行詞が人であることを強調します。

  • 先行詞が省略されている場合: 「el que / la que / los que / las que」と同様に「~する人」という意味で使われることがありますが、やや文語的です。

    Quien mal anda, mal acaba. (ことわざ)

    日本語訳: 悪事を働く者は悪く終わる。(He who lives evil, ends evil.)

所有を表す関係代名詞: cuyo, cuya, cuyos, cuyas

「cuyo, cuya, cuyos, cuyas」は、英語の “whose” に相当する所有を表す関係代名詞です。これは「que」では表現できない意味合いです。注意すべき点は、これらの形は先行詞ではなく、後続の名詞(所有されるもの)の性・数に一致するという点です。

「cuyo」系の使い方:

  • Conozco al escritor cuyas novelas son famosas.
    日本語訳: 私はその小説が有名な作家を知っている。
    解説: 先行詞は「el escritor」(男性単数)ですが、「cuyas」は後続の「novelas」(女性複数)に一致しています。
  • Es una empresa cuyo director es muy joven.
    日本語訳: それは社長がとても若い会社です。
    解説: 先行詞は「una empresa」(女性単数)ですが、「cuyo」は後続の「director」(男性単数)に一致しています。
  • Los niños, cuyos padres no estaban, jugaban en el parque.
    日本語訳: 両親がいなかったその子供たちは公園で遊んでいた。
    解説: 先行詞は「Los niños」(男性複数)ですが、「cuyos」は後続の「padres」(男性複数)に一致しています。

「cuyo」はやや文語的な響きがあり、日常会話では「que tiene…」や他の表現で言い換えられることもあります。例: Conozco al escritor que tiene novelas famosas.

関係副詞: donde, cuando, como

これらは厳密には関係代名詞ではなく関係副詞ですが、「que」を使った表現と密接に関連しているので触れておきます。

  • donde (場所): 「~する場所」。en que / en el que / en la que / en los que / en las que で言い換え可能です。

    La ciudad donde nací es pequeña. (= La ciudad en la que nací es pequeña.)

    日本語訳: 私が生まれた街は小さい。

  • cuando (時): 「~する時」。先行詞が時を表す名詞の場合に使われます。「en que」などで言い換えられることもありますが、「cuando」の方が一般的です。

    Recuerdo el día cuando nos conocimos. (= Recuerdo el día en que nos conocimos.)

    日本語訳: 私たちが知り合った日を覚えている。

  • como (方法・様態): 「~する方法」。先行詞が方法や様態を表す名詞の場合に使われます。「en que」などで言い換えられることもあります。

    Me gusta la manera como sonríe. (= Me gusta la manera en que sonríe.)

    日本語訳: 私は彼/彼女の微笑み方が好きだ。

これらの関係副詞は、文を簡潔にし、より自然な流れを作ることが多いため、積極的に使ってみましょう。

スペイン語「que」を使いこなす応用テクニックと学習のコツ

これまで「que」の基本的な使い方と他の関係詞との比較を見てきました。ここでは、さらに一歩進んで、「que」をより効果的に使いこなすための応用テクニックや、学習を進める上での注意点、コツを紹介します。

制限用法と非制限用法 – コンマ「,」が鍵!

関係詞節には、制限用法 (oración de relativo especificativa)非制限用法 (oración de relativo explicativa) の2種類があります。この違いは、関係詞節の前にコンマ「,」を置くかどうかで区別され、意味合いも異なります。

制限用法 (コンマなし):

先行詞を特定し、限定する情報を提供します。この関係詞節がないと、どの人や物を指しているのかが曖昧になります。英語のthat節に近い働きです。

Los jugadores que estaban cansados se retiraron del partido.

日本語訳: 疲れていた選手たちだけが試合から退いた。

解説: 「疲れていた」という条件に合う選手のみを指します。疲れていない選手は試合を続けた可能性があります。


非制限用法 (コンマあり):

先行詞は既に特定されており、それについて補足的な情報(なくても文意は通じるが付加情報として加える)を提供します。挿入句のような働きで、発音する際もコンマの部分で少し間が空きます。

Los jugadores, que estaban cansados, se retiraron del partido.

日本語訳: 選手たちは(彼らは疲れていたのだが)試合から退いた。

解説: ここでは、対象となる選手全員が疲れていて、その結果全員が退いた、というニュアンスです。関係詞節は補足情報です。先行詞が人の場合、非制限用法では「quien(es)」が好まれる傾向があります: Los jugadores, quienes estaban cansados…

このように、コンマの有無で文全体の意味が変わることがあるので、注意が必要です。

二重関係詞節 – 複雑な文も怖くない!

一つの先行詞に対して、複数の関係詞節が「que」で繋がって説明を加えることもあります。これを二重関係詞節(あるいはそれ以上)と呼びます。

Este es el libro que compré ayer y que te quería enseñar.

日本語訳: これが昨日私が買って、君に見せたかった本だよ。

解説: 先行詞「el libro」に対して、「que compré ayer (私が昨日買った)」と「que te quería enseñar (君に見せたかった)」という二つの関係詞節が並列でかかっています。

最初は少し複雑に見えるかもしれませんが、一つ一つの関係詞節が先行詞を説明していると考えれば理解しやすくなります。

関係代名詞「que」と接続詞「que」の見分け方

「que」は関係代名詞だけでなく、名詞節を導く接続詞(英語の “that” に相当、「~ということ」)としても非常によく使われます。この二つを見分けることは重要です。

特徴 関係代名詞の que 接続詞の que
役割 先行詞(名詞や代名詞)を修飾する節を導く。 動詞や形容詞の後に続き、名詞節(~ということ)を導く。主語、目的語、補語などになる。
先行詞 必ずある。 ない。
que の働き 関係詞節の中で主語や目的語になる。 節を導くだけで、節の中で格を持たない。
訳し方 「~するところの」「~するような」 「~ということ」
例文 El libro que leo. (私が読んでいる本) Pienso que es interesante. (それは面白いと思う)

文脈と「que」の前後に注目することで、どちらの用法か判断できます。

よくある間違いとその回避方法

  • 前置詞のつけ忘れ・不要な前置詞:
    • 間違い例: La ciudad que vivo es grande. (私が住む街は大きい)
    • 正しい例: La ciudad en (la) que vivo es grande. / La ciudad donde vivo es grande.
    • 解説: 「vivir en un lugar (ある場所に住む)」なので、前置詞「en」が必要です。
  • 「que」と「quien」の混同 (特に前置詞なしの場合):
    • 間違い例: El hombre quien vino ayer es mi amigo.
    • 正しい例: El hombre que vino ayer es mi amigo.
    • 解説: 前置詞がない場合、先行詞が人でも通常は「que」を使います。「quien」は前置詞の後や非制限用法で主に使われます。
  • 定冠詞付きの「que」と「lo que」の混同:
    • 「el que」などは具体的な先行詞(の代わり)を指し、性・数があります。
    • 「lo que」は抽象的な「こと・もの」を指し、常に中性単数扱いです。
  • 「cuyo」の後続名詞との性数一致ミス:
    • 「cuyo」は先行詞ではなく、所有される名詞に性・数を一致させます。

これらの間違いは、多くの例文に触れ、実際に自分で文を作る練習を繰り返すことで減らしていけます。

学習のコツ

  • たくさんの例文に触れる: 様々な文脈で「que」がどのように使われているかを見るのが一番です。教科書だけでなく、ニュース記事、小説、映画、音楽など、多様なスペイン語に触れましょう。
  • 声に出して読む・音読する: 正しいリズムや区切りを体で覚えるのに役立ちます。
  • 自分で文を作る練習(作文): 学んだ知識を実際に使ってみることが定着への近道です。簡単な文からで良いので、積極的に「que」を使った文を作ってみましょう。
  • ネイティブの会話を聞く・話す: 実際の会話の中で「que」がどのように自然に使われているかを知ることができます。機会があれば、ネイティブスピーカーと話す練習をしましょう。
  • 間違いを恐れない: 最初は誰でも間違えます。間違いから学ぶことが大切です。

まとめ:今日から使える!「que」をマスターしてスペイン語表現を劇的に向上させよう

この記事では、スペイン語の万能選手である関係詞「que」について、その基本的な使い方から、前置詞との組み合わせ、他の関係詞との比較、さらには応用テクニックや学習のコツまで、幅広く掘り下げてきました。

「que」のポイントをもう一度おさらいしましょう:

  • 「que」自体は形が変化しないが、先行詞や関係詞節内の動詞は性・数・時制に注意が必要。
  • 先行詞が物事でもでも使える。
  • 前置詞と共に使うことで、場所・時・方法・理由など詳細な情報を加えられる (例: en que, con que, para que)。
  • 人を先行詞とし前置詞を伴う場合、quien(es) もよく使われる。
  • 定冠詞付きの el que, la que, los que, las que は先行詞の代わりや明確化に。
  • 中性の lo que は「~こと」「~もの」という抽象的な概念や文全体を指す。
  • 所有を表すのは cuyo/a/os/as で、後続の名詞と性数一致。
  • コンマの有無で制限用法・非制限用法が変わる。

「que」はスペイン語の文章を豊かにし、より複雑な内容をスムーズに伝えるために不可欠な要素です。最初は難しく感じるかもしれませんが、一つ一つの用法を理解し、たくさんの例文に触れ、実際に使ってみることで、必ず自在に操れるようになります。

この記事が、あなたのスペイン語学習の一助となり、「que」への理解を深め、より自信を持ってスペイン語を使えるようになるきっかけとなれば幸いです。¡Ánimo con tus estudios de español!

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マリア (María) この記事を書いた人

元・高校教師(主に歴史担当)であり、現在は日本でスペイン語・英語講師としても勤務しより良い教育実践を目指し、日本の教育制度についても学んでいます。スペイン政府機関セルバンテス文化センター(東京)認定のDELE試験官(全レベル A1~C2)及びAVEオンライン講師資格保持者です。
セルバンテス文化センターでの講師経験に加え、独立行政法人国際協力機構(JICA)、大手企業(丸紅、日野自動車等)、多数の語学学校で、日本人学習者に対する豊富な指導実績を有し専門知識に基づいた指導、教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。

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