bien と bueno。どちらもスペイン語学習の初級の段階で習う単語ですが、この2つの違いがイマイチつかめていないという人もいるのではないでしょうか。
重要な役割を持つ2つの単語について、基礎をしっかり覚えておきましょう。両者は「良い」という意味を持ちますが、使い方や役割に違いがあります。特に、「bien」は副詞で動詞を修飾する場合に使用し、「bueno」は形容詞で名詞を修飾する場合に使用します。また、名詞や動詞の前後に置く際も異なる変化をします。最後に、感嘆表現や会話例も紹介されています。
スペイン語初級者必見!「bien」と「bueno」の違いと使い方
目次
bien と bueno の基本的な意味と役割
bien と bueno の意味は?
bien も bueno も「良い」という意味を表す単語です。bien を使った代表的なフレーズといえば、基本の挨拶がありますね。
これは、スペイン語を習い始めた人たちがまず覚える最初の会話の1つです。「元気ですか?」「調子はどう?」と聞かれて、「元気です」「いい調子だよ」と答える時に使うのが、bien 。
一方、buen を使った文には次のようなものがあります。
Es un buen profesor de español.
(エス ウン ブエン プロフェソル)
(彼は)良いスペイン語の先生です
こちらは、「スペイン語の先生がすばらしい」ということを伝えている文です。(bueno ではなく buen となっていますが、その理由は後述します)
このように、bien も bueno も「良い」というポジティブな意味を表すという点は共通しています。しかし、それぞれ役割が異なるため、使い方には注意が必要です。
bien と buen の違いは?
bien と bueno は品詞が違います。
bien は【副詞】。副詞とは、名詞以外の品詞を修飾する言葉です。
例えば「スペイン語を上手に話す」「良く理解する」「料理をするのがうまい」などは、「良い」という意味が動詞にかかっていますね。このような場合に使います。
bueno は【形容詞】。形容詞とは、人や物を示す名詞または代名詞に関して状態や性質を表す言葉です。
例えば「良い友達」「健康に良い習慣」「質の高い製品」など、「良い」という意味が名詞にかかってくる場合に使います。
副詞 bien の使い方と例文集
行動、動作、状態などが「良い」ことを表わすのが、副詞である bien です。「上手に」「元気で」「健康に」「正しい」「大丈夫」「適切に」「十分に」「快適に」といった意味もあります。
Ella cocina muy bien.
(エリャ コシナ ムイ ビエン)
彼女は料理をするのがとても上手だ
Te entiendo bien.
(テ エンティエンド ビエン)
私はあなたを良く理解している
El niño se porta bien.
(エル ニーニョ セ ポルタ ビエン)
その子供は行儀が良い
Mi padre conduce bien.
(ミ パドレ コンドゥセ ビエン)
父は運転がうまい
Esta verdura está bien cocinada.
(エスタ ベルドゥラ エスタ ビエン コシナーダ)
この野菜はよく火が通っている
Los planos están bien hechos.
(ロス プラノ エスタン ビエン エチョス)
この設計はよくできている
形容詞 bueno の使い方と例文
人、物、事柄などが「良い」ことを表すのが形容詞である bueno です。「かっこいい」「すばらしい」「優秀」「得意」といった意味も含みます。
Ella es una cocinera muy buena.
(エリャ エス ウナ コシネラ ムイ ブエナ)
彼女はとても良い料理人だ
Tengo un ordenador bueno.
(テンゴ ウン オルデナドール ブエノ)
私は(性能が)良いパソコンを持っている
María encontró un buen libro.
(マリア エンコントロ ウン ブエン リブロ)
マリアさんは良い本を見つけた
Ese jugador siempre juega bien.
(エセ フガドール シエンプレ フエガ ビエン)
あの選手はいつも良いプレイをする
Ha contratado a una diseñadora muy buena.
(ア コントラタード ア ウナ ディセニャドーラ ムイ ブエナ)
私はとても優秀なデザイナーと契約を交わした
Su hija siempre saca buenas notas.
(ミ イハ シエンプレ サカ ブエナ ノタス)
彼女の娘はいつも好成績を出す
bueno の名詞による変化
bueno は名詞の性と数に合わせて変化する!
スペイン語では、形容詞と名詞の性・数を一致させるというルールがあります。bueno も形容詞であるため、名詞によって形が変わるのが bien とは異なる特徴です。
変化の仕方は一般的な形容詞と同じで、女性名詞を修飾する場合は語尾が –a に、複数形なら最後に s を加えます。
bueno の性数一致の方法
【女性名詞を修飾する場合】
- 単数→ buena ブエナ
- 複数→ buenas ブエナス
buena idea(ブエナ イデア)
良いアイデア
buenas películas(ブエナ ペリクラス)
良い映画
【男性名詞を修飾する場合】
- 単数→ buen / bueno ブエン / ブエノ
- 複数→ buenos ブエノス
buen tiempo(ブエン ティエンポ)
良い天気
buenos libros(ブエノス リブロス)
良い本
単数男性名詞の前に置かれる場合は buen に!
単数の男性名詞を修飾する時、その名詞の前に bueno を置く場合には最後の o が省略され buen となります。
同様の変化をする形容詞には、grande や malo があります。この2つも名詞の前に置く場合は gran 、mal と語尾を省略することを忘れずに。このような不規則変化をする形容詞は数少ないので、まとめて覚えておきましょう。
【男性名詞単数の前に bueno を置く場合】
- ×bueno
- ◯buen
buen día(ブエン ディア)
良い1日
buen viaje(ブエン ビアへ)
良い旅
名詞や動詞の後に置かれる場合は bueno
bueno は名詞の前にも後にも置くことができます。ただ、単数男性名詞の前にくると最後の o が省略されるという点だけが異なります。
Es un buen cantante.
(エス ウン ブエン カンタンテ)
彼は良い歌手です
Luis es un cantante bueno.
(ルイス エス ウン カンタンテ ブエノ)
ルイスは良い歌手です
Buen と bueno の違い
名詞や動詞の前に置かれるのが buen、後にくるのが bueno 。いずれも意味は同じで、位置によって形が違うだけです。buen は単数の男性名詞の前にくる時のみ使われます。
bueno をどの位置に置くのかというのは、厳格な規則があるわけではありません。下の例文のように、2つの言い方ができ、どちらも正解です。
Me he comprado un coche bueno.
(メ エ コンプラド ウン コチェ ブエノ)
私はいい車を買った
Me he comprado un buen coche.
(メ エ コンプラド ウン ブエン コチェ)
私はいい車を買った
ser動詞とestar動詞によって変わる bueno の意味
bueno は、ser動詞を伴う時とestar動詞を伴う時で意味が異なります。この2つの動詞のそもそもの特徴をしっかり把握できれば、よりわかりやすくなるでしょう。
ser も estar も「〜です」「〜である」という意味を持つ動詞です。ser は本来の性質や資質を表し、estar は一時的な状態や事柄を表します。
bueno は形容詞なので名詞を修飾するわけですが、その時、ser動詞を使うのか、または estar動詞を使うのか、というが実は大事なポイント。同じように bueno を伴っても、それぞれ意味が変わってきてしまいます。
ser動詞+ bueno は本質的な性質を表す
ser は固有の性質や特徴、事柄などを表す動詞です。
【ser動詞 + bueno】の構文では「良い人」「良いこと」「上手」「品質が良い」「健康に良い」といった意味になります。
Esta carne es buena.
(エスタ カルネ エス ブエナ)
この肉は品質が良い
上の例文では、肉の素材そのものの質が良いことを言い表しています。
estar動詞+ bueno は状態を表す
estar は人や事柄の状態を表します。ser が本質的な性質であるのに対して、estar は一時的な状態であるのが特徴です。
「コンディションが良い」「健康」「美味しい」といったことを表現する時に【estar動詞 + bueno】の構文を使います。
Esta carne está buena.
(エスタ カルネ エスタ ブエナ)
この肉は美味しい
上の例文では、肉を食べた感想として味が良いことを言い表しています。
ser動詞、estar動詞を使ったスペイン語の例文
【ser動詞 + bueno】
次の文は、物や人についての本質的な説明をしています。
Este vino es muy bueno.
(エステ ビノ エス ムイ ブエノ)
このワインはとても質が良い
Hacer ejercicio es bueno para la salud.
(アセール エヘルシシオ エス ブエノ パラ ラ サルー)
運動は健康に良い
【estar動詞 + bueno】
次の文は、物や人についての一時的な状態を表しています。
Este vino ahora no está frío y no está bueno.
(エステ ビノ アオラ ノ エスタ フリーオ イ ノ エスタ ブエノ)
このワインは今十分に冷えていないので味が良くない
Esta leche no está buena, así que no la bebas.
(エスタ レチェ ノ エスタ ブエナ, アシ ケ ノ ラ べバス)
この牛乳は正常じゃない(腐っている)、だから飲まないでください
Luis ha estado enfermo, pero ahora ya está bueno.
(ルイス ア エスタード エンフェルモ, ペロ アオラ ジャ エスタ ブエノ)
ルイスは体調を崩していたが、今は良くなった
感嘆詞 qué + bien / bueno で表されるスペイン語
スペイン語では感嘆詞qué を使って感情や感想を伝える表現がさまざまあります。
bie nや bueno は qué と共に最もよく使われる言葉であり、誰かを褒める時や何かを評価する時には欠かせません。
スペイン語でよく使われている感嘆表現
¡Qué bien!
(ケ ビエン)
すばらしい!
何かの動作を褒める時や上手くいった時に、こう表現します。
¡Qué bueno!
(ケ ブエノ)
美味しい/すばらしい/いいね!
味、物、事柄など名詞にあたる何かを賞賛する時には、こう表現します。
¡Qué bien toca el piano!
(ケ ビエン トカ エル ピアノ)
(彼女は)なんて上手にピアノを弾くのだろう!
¡Qué bueno está este queso!
(ケ ブエノ エスタ エステ ケソ)
このチーズはなんて美味しいんだ!
¡Qué bien me siento!
(ケ ビエン メ シエント)
とてもいい気分だ!
¡Qué buena es tu hermana!
(ケ ブエナ エス トゥ エルマナ)
きみのお姉さんはなんていい人なんだ!
よく使われる bien と bueno を含んだフレーズ
ネイティブたちがよく使う bien や bueno を用いたフレーズをご紹介します。挨拶はスペイン語の会話に必須です!その他も便利なフレーズなので、覚えておくと必ず役立ちますよ。
Buenos días.
(ブエノス ディアス)
おはよう
Buenas noches.
(ブエナス ノーチェス)
こんばんは / おやすみ
Buen viaje.
(ブエン ビアヘ)
良い旅を
Buen provecho.
(ブエン プロベッチョ)
召し上がれ
¡Bien dicho!
(ビエン ディチョ)
良く言った!
¡Bien hecho!
(ビエン エチョ)
良くやった!
¡Bien pensado!
(ビエン ペンサード)
いい考えだ!
bien と bueno を使った会話例
bien と bueno をどのように使い分けるのか、参考に会話例を見ていきましょう。
アナさんとペドロさんが2人で話をしているシーンです。ペドロさんの手料理を味わったアナさんが感想を伝えています。さて、どこにbien と bueno が出てくるのか、よく注目して読んでみてください。
Ana: Pedro, cocinas super bien.
(ペドロ, コシナス スーペル ビエン)
ペドロは料理が最高に上手ね。
Me encanta todo lo que has preparado.
(メ エンカンタ トド ロ ケ アス プレパラード)
あなたが作ってくれたものは全て美味しいわ。
Pedro: Mi hermano es un cocinero muy bueno y me ha enseñado mucho.
(ミ エルマノ エス ウン コシネロ ムイ ブエノ イ メ ア エンセニャード ムーチョ)
僕の兄が腕のいいシェフでね、僕にいろいろ教えてくれるんだよ。
¿Te gusta la sopa de lentejas?
(テ グスタ ラ ソパ デ レンテハス)
今日のレンズ豆のスープの味はどうった?
Ana: Sí, está muy buena.
(シ, エスタ ムイ ブエナ)
すごく美味しかった。
Pedro: No solo está buena, sino que también es muy buena para la salud.
(ノ ソロ エスタ ブエナ, シノ ケ タンビエン エス ムイ ブエナ パラ ラ サルッ)
あのスープは美味しいだけじゃなくて健康にもいいんだ。
Ana: Pues me ha sentado muy bien.
(プエス メ ア センタード ムイ ビエン)
どうりで、食べたら元気が出てきた気がする。
¿Puedo tomar más?
(プエド トマール マス)
おかわりしてもいい?
Pedro: ¡Sí, claro!
(シ, クラロ)
ああ、もちろん!
Ana: Yo también cocino sopa a veces, pero no me sale tan buena como esta.
(ヨ タンビエン コシノ ソパ ア ベセス, ペロ ノ メ サレ タン ブエナ コモ エスタ)
私もスープを時々作るのだけど、これほど美味しくは作れないな。
Pedro: Si probaras la sopa que hace mi hermano, te encantaría.
(シ プロバラス ラ ソパ ケ アセール ミ エルマノ, テ エンカンタリア)
僕の兄が作るスープを試してみたら、もっと感動するよ。
Ana: Entonces, tengo que ir a su restaurante sin falta.
(エントセス, テンゴ ケ イル ア ス レスタウランテ シン ファルタ)
絶対にお兄さんのレストランに行かなくちゃ。
Pedro: Pues sí, te lo recomiendo.
(プエス シ, テ ロ レコミエンド)
うん、おすすめするよ。
ココが会話のポイント!
bien と bueno の違いを見つけられましたか?
bien を使っているのは以下の2つのフレーズです。「料理をするのが上手」「元気が出てきた(良く感じられる)」と、行動や状態に関わるコメントをしていますね。
cocinas super bien
(あなたは)料理がすっごく上手
me ha sentado muy bien.
とても良く感じられる
bueno が登場しているのは以下の3箇所。「良いシェフ」「美味しい」というように、人や味に対して「良い」と評価するために使っています。
es un cocinero muy bueno
彼はとても良いシェフ
está muy buena
とても美味しい
no me sale tan buena como esta
これほどうまく作れない(これと同じようには上手に料理できない)
bien と bueno を使い分けて自然なスペイン語会話を楽しもう!
会話例のようなコミュニケーションがスムーズにできれば理想的ですね。しかし、実際はスペイン語を勉強してすぐにこれほどの使い分けが簡単にできるわけではありません。では、どうしたら早く覚えられるのでしょうか。
使い分けを覚えるコツ
まずは bien と bueno の意味と違いをはっきりと理解すること。そして、一度把握できたら、次はあまり文法的に考えすぎず口に出してみること。頭で考えてばかりいるとかえって「正しい言い方」にとらわれて会話が弾まなくなる場合もあります。
もちろん正しく言えるに越したことはありませんが、最初のステップとしては「定番のフレーズを繰り返す」「よく耳にする言葉を真似してみる」と会話を楽しめるでしょう。
今回ご紹介した会話例やフレーズ例を、ぜひ声に出して読んでみてください。口に出して言ってみると、より覚えやすくなります。
いくつかフレーズを覚えたら、どんどん使っていきましょう。間違っても大丈夫!失敗を重ねてこそ上達していけるものです。
bien と bueno は簡単な言葉のようで実は違いがわかりづらい単語でもあります。わからなくなったらまたこの徹底ガイドを見直して、おさらいしてみてください。
まとめ
似ているだけに混乱しやすいbienとbueno。どちらも「良い」という意味ですが、bienは動詞を修飾し、bueno は名詞を修飾するというのが大きな違いです。
- スペイン語の「bien」と「bueno」は似た意味を持つ単語ですが、使い方や役割が異なるため注意が必要です。
- 「bien」は副詞で動詞を修飾し、「bueno」は形容詞で名詞を修飾します。
- 名前や動詞の前後で変化する点も覚えておくと良いでしょう。
- 感嘆表現や会話例も活用して、より自然なスペイン語会話を楽しみましょう。
今回ご紹介した使い分けができれば、何かを褒めたり、誰かを慰めたり、ポジティブな表現が幅広くできるようになりますよ。