スペインでは、一般的にスペイン語(カスティーリャ語)が最も広く使用されていますが、実は主に4つの異なる言語が使われており、それぞれが各自治州で公用語に定められています。それらの言語はカスティーリャ語、カタルーニャ語、ガリシア語、バスク語です。これらの言語はそれぞれ異なる地域で使用され、その地域の文化や歴史を反映しています。
地方色豊かなスペイン、言語にもそれがよく表れていますね。今回は、スペインの4つの主な言語を紹介します。
スペインの言語事情:公用語と地域特性を理解する
スペインの言語(公用語)
castellano
castellano カスティーリャ語
一般的に言われる「スペイン語」、実は別名「カスティーリャ語」とも呼ばれているのをご存知でしたか?国の公用語として、スペイン国内で最も広く使用されています。
世界でも、スペインを含め21の国と地域で公用語とされており、スペイン語を第一言語として話す人の数は世界第2位となる4億人にものぼっています。(2014年)
スペイン語はラテン語が元になって発達してきましたが、アラビア語の影響も強く受けてきた言語で、alcohol(アルコール)などアラビア語起源の単語も多く存在しています。
「おはよう」は、Buenos días(ブエノス・ディアス)。
catalá
catalá カタルーニャ語
バルセロナを州都とするカタルーニャ州で公用語として認められており、その他にもバレンシア地方やバレアレス諸島で使用されています。
スペインを飛び出して、フランスやイタリアの一部地域にも話者がいます。
独立志向のカタルーニャ州ではカタルーニャ語使用への意識が特に強く、学校など公の場でもカタルーニャ語の使用が推奨されていることもしばしば。
系統はスペイン語(カスティーリャ語)と同じなので、似ている単語も多くあります。
「おはよう」は、Bon dia(ボン・ディア)。
galego
galego ガリシア語
主にスペイン北西部のガリシア州で使用されています。
ガリシアからの移民が多い、ブエノスアイレス(アルゼンチン)やメキシコ・シティ(メキシコ)といったラテンアメリカの街にも、ガリシア語のコミュニティがあります。
ガリシア地方とポルトガルが隣接しているという地理的関係から、ガリシア語はポルトガル語とよく似ている言語です。
そもそも、中世まではガリシア語とポルトガル語は同一の言語であったと言われています。近年話者が減少しているため、保護政策が進められています。
「おはよう」はBos días(ボス・ディアス)。
euskera
euskera バスク語
スペインとフランスにまたがるバスク地方で主に使用されています。
この言語の興味深い点は、その起源が不明なこと。以上に紹介した3言語はいずれも同じ系統に属していますが、バスク語は全く異なった体系を持ち、どこから発生した言葉なのか今でも分かっていません。
英語のジョークで
「悪魔がバスク人を誘惑するためにバスク語を習ったが、7年かかって覚えたのは『はい』と『いいえ』だけだった」
というものがあり、欧米では習得が難しい言語と言われています。
「おはよう」はEgun on(エグノン)。
最後に
スペインの言語事情は、その地域の多様性と文化的富を反映しています。
フランコの独裁政権下では、カスティーリャ語以外の言語や方言の使用が制限されていました。しかし民主化後の憲法で、その他の言語が各自治州で公用語として認められるようになりました。
現在も、固有の文化として各言語を未来の世代に伝えていく動きが盛んです。スペインの魅力の1つである各地域の違いを、言語でも楽しんでみてください。