さあ、今日も元気にスペイン語でコミュニケーション!スペイン語を学んでいると、日本語では同じ「見る」という言葉で表せる動作が、スペイン語では複数の動詞で使い分けられていることに気づきますよね。「テレビを見る」「景色を見る」「人をちらっと見る」「じっくり観察する」…これらの「見る」は、スペイン語ではそれぞれ異なる動詞で表現されることが多いのです。
特に代表的なのが「ver」「mirar」「observar」「contemplar」の4つの動詞です。これらの使い分けは、スペイン語の初心者にとっては少し混乱しやすいポイントかもしれません。しかし、それぞれの動詞が持つコアな意味とニュアンスの違いを理解すれば、より正確で自然なスペイン語表現が可能になります。
この記事では、スペイン語の「見る」に関連する主要な動詞の意味と使い方を、豊富な例文とともに徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたも状況に応じて適切な「見る」を使いこなせるようになるはずです!
スペイン語で「みる」を正確に使い分け – ver, mirar, observar, contemplar の違いを解説
目次
基本の「見る」:ver と mirar の違い
まず、最も頻繁に使われる「見る」動詞である「ver」と「mirar」の違いから見ていきましょう。この二つを使い分けることが、スペイン語の「見る」を理解する第一歩です。
ver (ベル) – 「見える」「見る(視覚で捉える)」「会う」「理解する」
ver
主な意味:視界に入る (see), テレビ・映画などを見る, 人に会う, 理解する, 分かる
ニュアンス:自然に目に入ってくる、結果としての「見る」
「ver」は、英語の “see” に最も近い動詞です。意識的に視線を向けるというよりは、自然と視界に入ってくる、あるいは視覚情報として認識するというニュアンスが基本です。また、「(人に)会う」や「(状況を)理解する、分かる」という意味でも非常によく使われます。
例文:
¿Ves ese pájaro en el árbol?
(ベス エセ パハロ エン エル アルボル?)
あの木の鳥が見える? (視界に入る)
Anoche vi una película interesante.
(アノーチェ ビ ウナ ペリクラ インテレサンテ)
昨夜、面白い映画を見たよ。 (映画鑑賞)
¿Has visto a María hoy?
(アス ビスト ア マリア オイ?)
今日マリアに会った? (人に会う – ※対象が人の場合は前置詞 ‘a’ が必要)
No veo cuál es el problema.
(ノ ベオ クアル エス エル プロブレマ)
何が問題なのか分からない / 見えない。 (理解する)
A ver… ¿dónde están mis llaves?
(ア ベール… ドンデ エスタン ミス ジャベス?)
ええと…私の鍵はどこかな? (間投詞的な用法)

「ver」は自然に視界に入ってくる「見る」
mirar (ミラー) – 「(意識的に)見る」「目を向ける」「調べる」
mirar
主な意味:(意識して)見る (look at), 視線を向ける, (鏡などで自分を)見る, 調べる, 世話をする
ニュアンス:意図的に視線を向ける動作
「mirar」は、英語の “look (at)” に近く、意識的に対象物に視線を向ける、注意して見るという動作そのものを表します。「ver」が結果としての「見える」状態を含むのに対し、「mirar」は「視線を向ける」という行為に焦点があります。
例文:
¡Mira ese coche rojo!
(ミラ エセ コチェ ロホ!)
あの赤い車を見て! (視線を向けるよう促す)
Estaba mirándome durante la clase.
(エスタバ ミランドメ ドゥランテ ラ クラセ)
授業中、彼/彼女はずっと私を見ていた。 (意識的に視線を向ける)
Mírate en el espejo.
(ミラテ エン エル エスペホ)
鏡で(自分の姿を)見なさい。 (再帰動詞 mirarse)
Mira la hora en tu móvil.
(ミラ ラ オラ エン トゥ モビル)
携帯で時間を見て(確認して)。 (調べる)
Hay que mirar por los niños.
(アイ ケ ミラール ポル ロス ニーニョス)
子供たちのことを気遣わなければならない / 面倒を見なければならない。 (mirar por + 人 = ~の世話をする、~に気を配る)
注意:「mirar」で特定の人を見る場合は、前置詞「a」が必要です。(例: mirar a María – マリアを見る)。ただし、日本語の「じろじろ見る」にあたるような失礼な見方は避けるべき文化的な配慮も必要です。
ver と mirar の使い分けまとめ
- ver: 見える、視覚で認識する (see)。結果。会う、理解する意味も。
- mirar: 視線を向ける、注意して見る (look at)。動作。調べる、世話をする意味も。
例:「Mira la tele. (テレビを見て – 視線を向けて)」と言われた後、「¿Ves algo interesante? (何か面白いものが見える? – 視界に入ってる?)」と尋ねるような使い分けができます。
さらに深く「見る」:observar と contemplar
「ver」や「mirar」よりも、さらに特定の目的や感情を持って「見る」場合に、「observar」や「contemplar」が使われます。
observar (オブセルバール) – 「観察する」「(規則などを)守る」「気づく」「述べる」
observar
主な意味:観察する (observe), (規則・法律などを)遵守する, 気づく, (意見などを)述べる, 評論する
ニュアンス:注意深く、目的を持って見る・分析する
「observar」は、英語の “observe” にあたり、単に視線を向けるだけでなく、何かを理解したり分析したりする目的で、注意深く、詳細に見ることを意味します。科学的な観察や、人の行動をじっくり見るときなどに使われます。また、「規則などを守る(遵守する)」や、「(観察した結果として)気づく、意見を述べる」という意味でも使われます。
例文:
Vamos a observar el comportamiento de los insectos.
(バモス ア オブセルバール エル コンポルタミエント デ ロス インセクトス)
昆虫の行動を観察しましょう。 (科学的な観察)
Es importante observar las normas de tráfico.
(エス インポルタンテ オブセルバール ラス ノルマス デ トラフィコ)
交通規則を守ることは重要です。 (遵守する)
Observé que no estaba contenta.
(オブセルベ ケ ノ エスタバ コンテンタ)
私は彼女が不機嫌であることに気づいた。
El político observó que la situación económica era difícil.
(エル ポリティコ オブセルボ ケ ラ シトゥアション エコノミカ エラ ディフィシル)
その政治家は、経済状況が困難であると述べた(評論した)。

「observar」は注意深く観察するイメージ
contemplar (コンテンプラール) – 「じっと見つめる」「熟考する」
contemplar
主な意味:(感動や関心を持って)じっと見つめる, 観賞する, 熟考する, 考慮に入れる
ニュアンス:感情を込めて、あるいは思考を巡らせながら対象を見る
「contemplar」は、英語の “contemplate” に近く、美しい景色や芸術作品などを、感動や畏敬の念を持って、あるいは静かに考え事をしながら、じっくりと眺める様子を表します。「mirar」よりも、より時間をかけ、感情や思考を伴う「見る」です。また、「(可能性や計画などを)熟考する、考慮に入れる」という意味でも使われます。日常会話での使用頻度は前の3つほど高くはありませんが、文学的な表現や深い思考を表す際に使われます。
例文:
Nos quedamos contemplando la puesta de sol en silencio.
(ノス ケダモス コンテンプランド ラ プエスタ デ ソル エン シレンシオ)
私たちは黙って夕日をじっと眺めていた。
Me gusta contemplar las estrellas por la noche.
(メ グスタ コンテンプラール ラス エストレジャス ポル ラ ノーチェ)
夜に星を眺めるのが好きだ。
Contempla la posibilidad de mudarse a otra ciudad.
(コンテンプロ ラ ポシビリダッ デ ムダルセ ア オトラ シウダッ)
彼は他の街へ引っ越す可能性を熟考している。
Este plan no contempla los riesgos.
(エステ プラン ノ コンテンプロ ロス リエスゴス)
この計画はリスクを考慮に入れていない。

「contemplar」は感動や思考を伴う「眺める」
その他の「見る」関連表現
上記4つの主要動詞以外にも、「見る」に関連する便利な表現がいくつかあります。
- Echar un vistazo a… (エチャール ウン ビスタソ ア…): ~にざっと目を通す、~をちらっと見る。
- 例: ¿Puedes echar un vistazo a este documento? (この書類にざっと目を通してくれる?)
- Fijarse en… (フィハルセ エン…): ~に注目する、~に気づく。
- 例: Fíjate en los detalles. (細部に注目しなさい。) / No me había fijado en que llevabas gafas nuevas. (君が新しいメガネをかけているのに気づかなかったよ。)
- Divisar… (ディビサール…): 遠くのものを(かろうじて)見る、見つける、認める。
- 例: A lo lejos, divisamos la costa. (遠くに海岸が見えた。)
- Presenciar… (プレセンシアール…): (事件・出来事などを)目撃する、目の当たりにする。
- 例: Presenciamos el accidente desde la ventana. (私たちは窓からその事故を目撃した。)
- Ojear… (オヘアール…): (本などを)ざっと見る、拾い読みする、ざっと目を通す。(echar un vistazo に似る)
- 例: Ojeé la revista en la sala de espera. (待合室で雑誌をざっと見た。)
会話で見る「見る」動詞の使い分け
最初の会話例で、これらの動詞がどのように使い分けられているか、もう一度確認してみましょう。
会話の振り返り
何してるの?楽しそうにみえるわ。(ver: 見える、判断する)
私のことを観ていたのね?クロスワードをやっているのよ。(mirar: 視線を向ける)
いいわね、それで語彙知識が増やせるわ。
そうなの。もっとも、これは私にはかなり難しいようだけれどね。(veo que…: ~だと分かる、~のようだ)
どれどれ、一緒にやりましょうよ。私に見せてちょうだい…(A ver: ええと / echar un vistazo: ざっと見る)
あなたは眼が悪いの?顔をそんなに本に近づけるなんて。(vista: 視力、視覚)
そうだと思う。時間のある時に眼科医に診てもらいたいわ。(ver: 診察する意味でも使う。接続法現在形)
まとめ:「見る」動詞を使いこなして表現豊かに!
スペイン語の「見る」には、単に視覚で捉えるだけでなく、意識の向け方や目的、感情によって様々な動詞が使い分けられています。
- ver: 基本。「見える」「会う」「理解する」など幅広く。
- mirar: 意識的に「視線を向ける」動作。
- observar: 注意深く「観察する」、規則を「守る」。
- contemplar: 感動や思考を伴って「じっと眺める」。
これらの基本的な違いを理解し、さらに「echar un vistazo」や「fijarse en」などの表現も覚えることで、あなたのスペイン語はよりネイティブらしく、表現豊かなものになるでしょう。
動詞の使い分けは、たくさん例文に触れ、実際に使ってみる中で感覚的に身についていくものです。間違いを恐れずに、色々な「見る」を試してみてくださいね!