海外に行くとなるとどうしても気になるのが言語。そしてその次に大事なのが、やっぱり食習慣ですよね。
どれだけ気候や文化が合っても、食が合わないのは本当に苦痛。今日はラテンアメリカの食卓事情をのぞいてみましょう。
スペイン語で旅するラテンアメリカ料理:唐辛子からトルティーヤまで
目次
唐辛子の種類
メキシコに旅行に行ったアヤと、ホストマザーの Julieta の会話です。
Julieta: Bienvenida a mi casa, Aya. Preparamos toda esa comida para ti.
我が家へようこそ、あや。この食事、全部あなたのために作ったのよ。
Aya: ¡Qué bonita la mesa! Muchas gracias por todo para mi. ¿Qué son estos?
なんて素敵な食卓!私のためにありがとう。これは何?
Julieta: Tenemos variedad de chiles en México. ¿Te gusta el picante?
メキシコにはいろんな種類のとうがらしがあるの。辛いのは好き?
Aya: Un poquito. ¿Qué tanto pican?
少しなら。どのくらい辛いの?
Julieta: Bueno, depende de lo que escojas. Deberias de probarlas. Si no aguantas, no te preocupes.
どれを選ぶか次第ね。試してみて、無理だったら心配しなくていいから。
Aya: Me da mucha curiosidad. Probaré un poco de todo.
とっても興味あるわ。一通り全部試してみようっと。
Chile
トウガラシ
ラテンアメリカ(特にメキシコ)の食卓に欠かせないのが、なんといってもチレです。
どれほど必要不可欠なのかというと、例えば家に食べるものがなにもないとき、トルティーヤ(トウモロコシの粉からできた中米の主食)とチレで食事を済ましてしまうといった具合です。
スープ、肉料理、スクランブルエッグやフリホーレス(豆の煮物)など、豪勢な料理からシンプルな料理まで、味のアクセントに必ずチレが添えられます。
ちなみに、本場ではチレを大量に入れるため、料理自体の味がほぼしないということも多いです。
でも彼らにとってはそれが”味”だそうで、チレ初心者にとっては少しハードルが高そうです。
Chile jalapeño
チレハラペーニョ
緑色で、普通のトウガラシより大き目です。中には種が入っていて、一段と辛さが増します。
市場では生で売られていて、本場ではアサード(焼き)や、クルード(生)で食べます。スプーンを右手に料理を食べながら、左手には生ハラペーニョをかじり…といった具合です。
中にはそこまで辛くないものもあり、焼き肉によく合います。
Chile habanero
チレハバネロ
メキシコに100種類以上あるといわれるチレの中でも代表格の辛さです。日本でも、辛さを売りにしたスナック菓子などに使われていますよね。
ソース状になっているものだとピザやパスタにタバスコの感覚でかけたり、使い方はいろいろです。
くれぐれもかけすぎにご注意ください。
マンゴーやパイナップルなど、フルーツにもチレをかけてしまうほど、中米の食卓にはチレは欠かせません。
「赤ちゃんの母乳にもチレが入っているんじゃないのか」という冗談があるほど、ラテンアメリカの食卓に深く根付いているチレ。機会があったら是非試してみてください。
どこの国に行っても、食文化には驚かされるものですよね。例えば、魚を生で食べる日本の食習慣は、海外の人にとっては信じられないものです。
今日は、ラテンアメリカの“珍しい”食べ物を少し見てみましょう。
ラテンアメリカの味
アキコがグアテマラ人の Ana と好きな食べ物について話しています。
Ana:¿Qué comida te gusta de Guatemala?
グアテマラ料理で何が好き?
Akiko: Me encanta el caldo de res. Es que en japón no hay de eso. ¿Y a tí?
牛肉のカルドが大好き!だって日本にはないんだもん。あなたは?
Ana: Hay tantas cosas que me gustan, pero mi favorito son los zompopos.
いっぱいあるけど、あえて言うならソンポポスかな。
Akiko: ¿Qué son esos? Nunca habia oido de eso.
それ何?聞いたことないけど。
Ana: Te mostoraré fotos. Aqui estan.
写真を見せてあげる。ほら!
Akiko: ¡No puede ser! No puedo creer que se puede comer.
ありえない!これを食べるなんて信じられない…。
Ana: No te asusutes. En mexíco se comen otros tipos de insectos. También comen nopales.
びっくりしないで。メキシコではほかの種類の昆虫も食べるのよ。ノパルも。
Akiko: Parece que me falta mucho conocer la comida de centro america.
中米の食べ物まだまだ知らないってことに気づかされるわ。
zompopos
ソンポポス
アキコが驚くのも当然、ソンポポスは葉切り蟻の一種です。雨季が始まる前の5月中旬から下旬にかけて、数日間にわたって大量発生します。
一年に数日しか手に入らないということで希少価値もあがり、市場では高値で取引されます。
どうやって調理するのでしょうか?羽、頭の部分をとってフライパンなどで焼き、香ばしくなったところにレモンと塩をかけて食べるようです。
香ばしいので味にくせはなく、蟻といわれなければ気づかないかもしれません。
nopales
サボテン
サボテンのはりを取り除き、茹でて小さく刻みサラダにします。アロエのような粘りがあって、納豆に慣れている日本人には馴染みやすいかもしれません。
身体にとてもよく、高血圧、血液サラサラに大いに貢献します。本場メキシコでは、サボテンまでタコスにしてしまうようです。
caldo
スープ
ラテンアメリカの代表的な料理の一つにカルドが挙げられます。牛、鶏など肉の種類によって野菜や香草のコンビネーションも変わってきます。
大きな肉の塊に野菜まで厚切りで、チレとレモンを入れて芯まで温まります。
ラテンアメリカの珍しい食べ物を挙げていくときりがありません。
チョコレートとお米を混ぜた飲み物だったり、お昼ご飯にチョコレートソースの入った肉が添えられたリ…。
既成概念を捨てて新鮮な気持ちで挑戦してみると、意外とおいしさを発見できるかもしれません。
ラテンアメリカの主食は”トルティーヤ”ということはみなさんご存知の通り。「日本の主食がお米のような感覚だろうな」と思っていることでしょう。
果たして、トルティーヤはラテンアメリカの食卓にどれだけ欠かせないものなのでしょうか?
トルティーヤの歴史
スペイン人にとってのトルティーヤは、ラテンアメリカ人のトルティーヤと違うことをご存知でしたか?
Julisa: ¿Cuántas tortillas comes cada comida?
毎回の食事でどのくらいトルティーヤ食べる?
Paola: Como cuatro tortillas. Claro, cuando tengo mucha hambre como más.
4枚くらいかな。もちろんすごくお腹がすいてる時はもっと食べるけど。
Julisa: Todavía no me acostumbro comer tortillas. Para nosotros, la tortilla es la torta de huevos.
トルティーヤ食べるのにはまだ慣れないわ。私たちにとっては卵料理だもの。
Paola: Es cierto. Aunque se llama TORTILLAS, pensamos en diferentes cosas. Es curioso.
確かにそうね。同じトルティーヤなのに、違うことを想像するなんて面白いね。
トルティーヤはもともと、ラテンアメリカの先住民の間で食べられていました。
スペインがラテンアメリカを征服したとき、これを見た兵士たちが、本国の卵料理(オムレツのようなもの)に似ていることから、この名前を付けたといわれています。
スペイン人とトルティーヤの話をするときは、コンセプトの違いに注意してくださいね。
トルティーヤの伝統的な作り方
ここではトウモロコシのトルティーヤの作り方を見ていきます。
① maíz(トウモロコシ)の粒を乾燥させたものを、石灰の入ったお湯で柔らかくなるまで煮ます。
② 湯切りしたトウモロコシ(ニシュタマル)を水を入れながら製粉機にかけます。(ペースト状になってでてきます)
③ 手のひら又はトルティーヤを作る機械を使って丸く仕上げ、鉄板かフライパンで焼き上げます
最近ではスーパーなどで、水を加えるだけのトウモロコシの粉が売っているので、時間をかなり短縮することができます。
食べ方
タコス(様々な具をのせて二つに折ったもの)が一番有名です。アボガドのディップや香草ソーセージともよく合います。
レストランや食堂で料理を頼むと、メニューに記載がなくても必ずトルティーヤのかごがついてきます。
スパゲッティやお米を食べる時にも、トルティーヤを食べる人がいるくらいです。
時間がたって冷めてしまったトルティーヤも無駄にはなりません。
油で揚げて、その上にサルサや野菜や肉をのせて”トスターダ”にしてしまいます。おやつにもご飯にも、多くの人に愛されています。
今日はトウモロコシのトルティーヤをメインに見ましたが、小麦粉でできた tortilla de harina もあります。
海外食材の店に立ち寄った際は是非探してみてください。ビーンズなどとコンビネーションしても美味しいですよ。
ラテンアメリカの珍しい料理
日本の納豆は海外でも珍しい食べ物としてよく取り上げられますよね。今回はラテンアメリカで塩味と甘みが面白く組み合わさった珍しい料理を見てみましょう。
会話
Amelia : Nunca había probado algo asi.
あの味は初めてだったわ。
Dora : ¿De qué hablas?
何のこと?
Amelia : Es que probé por primera vez en mi vida tamal dulce.
人生初の甘いタマルを食べたの。
Dora : Y ¿te gustó?
それで、美味しかった?
Amelia : Siendo sincera, tal vez me pasa solo una probadita pero no creo que pueda acabar uno entero.
正直に言うと、一口試すだけで十分って感じかしら。一つ全部食べ切るのは無理だわ。
Dora : Es que nuestro paladar no está acostumbrado a esa combinación de sabores, ¿verdad?
だって私たちの味覚はあの味の組み合わせには慣れてないものね。
Amelia : Al fin tengo a alguien que me entiende.
やっと分かってくれる人と出会えたわ。
La señora que me ofreció tenia hecho bastantes tamales y me dio para llevar.
お土産にまで甘いタマルをもらっちゃって、
Pero no creo que pueda acabar. ¿Le gusta a tu familia?
一人じゃ食べきれないからどうしようって思ってたところだったの。あなたの家族は好きかしら?
Dora : Si. Creo que ellos tienen rato de no comer tamal dulce asi que te pueden ayudar.
好きなはずよ。それにもう随分前に食べたのが最後のはずだからきっとあなたの助けになれるわよ。
Amelia : Eso es un gran alivio.
それを聞いて一安心だわ。
タマルの甘いバージョン
ラテンアメリカでは、トウモロコシのコアがベースの、中に肉とトマトソースが入ったものを葉でくるんだ蒸し料理がどの国でも伝統料理です。
もちろん国によって少し味やアクセントは違ってきますが、何かのお祝いごとだったり大人数が集まったりするときによく作られます。
でもタマルの甘いバージョンがあるって知っていましたか?
肉が入っているのは共通なのですが、なんとソースがチョコレートベースなのです。干しブドウやプルーンも何粒か入っていて、”ほんのり甘い”といった感じです。
現地の人でも好き嫌いがはっきり分かれる”珍しい”食べ物です。クリスマスや新年など年に一回だけ口にすることができるタマルです。
日本の味覚には旨味や、料理に砂糖が使われているものも多く、様々な種類の味に慣れているつもりですが、一歩外に出てみると興味深い組み合わせの食べ物がたくさんあるものです。機会があれば是非試してください。
ラテンアメリカの家庭料理おふくろの味
どんな家庭にも”おふくろの味”がありますよね。ラテンアメリカでは、どんなものがおふくろの味にあたるのでしょうか?
今でも食卓に深く根付いていて、伝統的ないくつかのメニューを見てみましょう。
Laura: Ya son a las diez de la mañana. Tengo hambre.
もう10時だね。お腹が空いたな。
Raquel: ¿Por qué no salimos a comer algo?
じゃあ何か食べに行かない?
Laura: Buena idea. ¿Qué se te antoja?
いいね。何が食べたい気分?
Raquel: Mmm… Quiero un atol y una tostada me llenan.
ん~、アトルとトスターダでお腹いっぱいになるかな。
Laura: Me parece bien. Vamos a buscar en el mercado.
いいね。メルカドに探しに行こうよ。
アトル
アトルとは中南米の伝統的な飲み物の一つです。
基本的な作り方は、とうもろこしの粒をゆで柔らかくしたものをつぶし水と混ぜ、砂糖などで甘くし煮込んだものです。
最近ではベースとして、とうもろこしだけでなく様々なフルーツや野菜も使われます。
例えば、プラタノ(調理用バナナで普通のバナナより大きめ)やアバ(そらまめ)をベースにしたものもあります。
チョコレートや甘い牛乳のベースにお米が入ったものもあり、米を主食にしている日本人にとっては少し驚く組み合わせですよね。
腹もちがいいため、おやつ時間のほかに朝食や夕食にも添えられています。
トスターダ
薄いトルティーヤを揚げたものの上に、色々な具をのせます。チキンのマヨネーズ和え、アボガドのディップ、フリホーレス(豆の煮物)など、好みの具材を組み合わせることができます。
軽い感覚で食べらるので、おやつの時間に間食で食べられることが多いです。露店で手軽に手に入れることができる、馴染みのある一品です。
もちろん一般家庭でも簡単に作ることができ、トルティーヤが余って冷えた時などの有効活用にもなります。
タマル
トルティーヤの原材料と同じですが、とうもろこしのペースト状になったものの中に煮込んだ肉を包み、さらにバナナの皮で包んで蒸した食べ物です。中身の肉は鶏、豚のどちらかが使われます。
とうもろこしの代わりに、米やじゃがいものをすりつぶしたものが使われることもあり、じゃがいものの場合はパチェスという名前になります。フランスパンを添えて召し上がれ。
ラテンアメリカの飲み物ポンチェ
寒い季節には温かい飲み物が恋しくなるものです。今回はラテンアメリカで寒い時期によく飲まれるPONCHEの話をしましょう。
フルーツがたっぷり入った冬の象徴とも言えるこの飲み物、どんなものなのでしょうか?
Carlos: Siempre en esa época se me antoja el ponche.
この時期になるとポンチェが飲みたくなるんだよね。
Juan: A mi también. Extraño el ponche que hacía mi abuelita.
僕もだよ。おばあちゃんが作ってくれてたポンチェが懐かしいな。
Carlos: ¿Tu mamá no lo hace?
お母さんは作ってくれないの?
Juan: Si, lo hace. Pero tiene un toque diferente que lo de mi abuela.
もちろん作るよ。でもおばあちゃんのとはちょっと違うんだよな。
Carlos: Es curioso pero aunque usan mismo ingredientes a cada persona sabe diferente.
全く同じ材料を使っても作る人によってちょっとずつ味が変わってくるって面白いよね。
Juan: Asi es. No es que lo de mi mamá no me guste pero mi favorito era de mi abuela.
そうなんだよね。お母さんの作るのが嫌いって訳じゃなく、ただお気に入りはおばあちゃんのだったなっていうだけ。
Y ¿en tu casa? ¿Cómo es el ponche que ustedes toman?
それで、君の家のポンチェはどんなの?
Carlos: Lo de nuestra casa, no puede faltar coco rayado. También se le echan jocotes si consiguen.
うちのはココナッツの千切りが欠かせないな。あとあればホコテも入れるよ。
Juan: Ya se me hace agua la boca.
あ~よだれが出てきそうだよ。
¿Por qué no vamos al mercado y comparamos frutas que nos gusten, luego llevamos con mi mamá para que lo haga?
これから市場に行って僕たちの好きな果物を全部買って、うちの母親に作ってもらうってのはどう?
Carlos: Buena idea. Vamos a darnos gusto.
いいね。好きな果物全部買うぞ!
ポンチェってどんな飲み物?
イメージとしてはフルーツポンチのようなものですが、ポンチェは”温かい”飲み物です。
主な果物として欠かせないのがパイナップル、リンゴ、パパイヤ。そこにシナモンやクローブ、オールスパイスなどの香辛料を入れてじっくり煮込みます。
甘くてフルーツの香りがたっぷりの、ラテンアメリカならではの飲み物です。とくにクリスマスの日に作るのが伝統で、各家庭でタマルと一緒に食べられます。
その時期ならではのお好みの果物を入れて、美味しいポンチェができます。
日本では飲み物に香辛料を入れるのは一般的ではありませんが、フルーツと香辛料はなかなかいいコンビネーションを織りなします。
季節限定のものなので、機会があれば是非試してみてください。きっと気に入ると思いますよ。
ラテンアメリカの二種類のトマトの話
トマトと聞くと何を思い浮かべますか?サラダに入っている真っ赤なトマト、じっくり煮込んだトマトスープやソースなど、まずは赤のイメージがあると思います。
でもラテンアメリカではもう一種類のトマトもポピュラーなんです。どんなトマトなのでしょうか?
Mai : Huele muy rico y se ve muy rica la comida. ¿Cómo se llama esta comida?
この料理美味しそうだし本当にいい匂いがするわ。何て言う料理なの?
Meli : Se llama “pollo en salsa verde”. ¿Has probado?
鶏肉のグリーンソース煮よ。食べたことある?
Mai : Para ser sincera, es primera vez que veo salsa de color verde. La salsa roja es muy común pero ese color me parece muy interesante.
正直に言って、緑のソースを見るのは初めてなの。赤いソースはよくあるけど、この色は興味深いわ。
Meli : Lo que consiste es casi lo mismo. La diferencia es que para salsa roja se echan cosas rojas como chile rojo y tomate normal. Sin embrago, para salsa verde se echan las cosas verdes como chile verde y miltomate.
入ってるものはほとんど一緒なんだけどね。違いは赤いソースには赤いもの、例えば赤いパプ リカや赤いトマトが入ってるのに対して、緑のソースには緑のパプリカやミルトマトが入ってるってこと。
Mai : Y ¿el sabor cambia bastante?
味はだいぶ変わるの?
Meli : La verdad es que si. Cada uno tiene su toque diferente.
そうね。それぞれに独特の味とアクセントがあるわ。
Mai : Bueno, mejor voy a probarlo y te cuento.
早速試してみて感想を言うわね。
ポピュラーな緑のトマト
tomate verde または miltomate というわれるこのトマトは主にソースに使われます。生では食べません。
サクランボほどの大きさで、表面に薄い皮のようなものがついています。ちょっと酸味のあるこのトマトは、玉ねぎやにんにく、緑のパプリカなどを組み合わせてソースにされ、色々な料理に使われます。
同じ肉を使っていてもソースの種類によってテイストがかなり変わってきます。
Pollo en salsa roja 又は Pollo en salsa verde
おわりに
日本ではまず見かけないといってもいいこのミルトマト、気を付けて見てみるとどの市場でも売られていて、ラテンアメリカの食卓に欠かせないものであることが分かります。興味がある方は是非試してみてください。