スペイン語を学んでいると、「このお土産を3個買ったら合計いくらになるだろう」「レストランの会計を5人で均等に分けたい」といった、日常的な計算の場面に何度も直面します。数字そのものは数えられるようになっても、いざ数式や計算の動作を言葉で表現しようとすると、ふと口ごもってしまう学習者は少なくありません。
この記事を読み進めることで、スペイン語における掛け算と割り算の正しい読み方、そして「割り勘にする」「倍量で作る」といった実生活に直結する計算フレーズを完全に習得できます。単なる直訳ではなく、スペイン語圏の人々が実際に使っている自然な言い回しを知ることで、旅行先での買い物や食事でのコミュニケーションが劇的にスムーズになるはずです。本格的にネイティブとの会話練習を積んで実践力を高めたい方は、スペイン語教室を活用してロールプレイを行うのも非常に効果的です。
では、具体的にどのような単語を使って掛け算や割り算の操作を表すのでしょうか?まずは、計算の基礎となる名詞と動詞の違いから、順番に理解を深めていきましょう。
スペイン語で掛け算と割り算を表す基本単語
- 掛け算の名詞は la multiplicación、動詞は multiplicar
- 割り算の名詞は la división、動詞は dividir
- 名詞は「数学の概念」として、動詞は「計算する動作」として使い分ける
スペイン語で計算について語るためには、まず「計算の名称(名詞)」と「動作(動詞)」を正確に区別して覚える必要があります。この2つを混同してしまうと、相手に意図が伝わりにくくなるため、それぞれの品詞の役割をしっかりと把握することが大切です。
掛け算という概念そのものを指す名詞は la multiplicación、割り算という概念を指す名詞は la división です。語尾が「-ción」や「-sión」で終わる単語はスペイン語では女性名詞となるため、定冠詞は「la」を伴います。これらは「数学の授業で掛け算を学ぶ」といった文脈で使われます。
- フレーズ
- La multiplicación es una operación matemática fundamental.
- 日本語訳
- 掛け算は基礎的な数学の演算です。
- 使う場面
- 学校の授業や、学習内容について説明する場面。operación matemática は「数学の演算・計算」を意味します。
- 発音・ニュアンス
- 「ムルティプリカシオン」と、最後の「オ」の部分にアクセントを強く置いて発音します。
一方で、「〜に〜を掛ける」「〜を〜で割る」といった具体的な計算の動作を行う場合は、動詞である multiplicar と dividir を使用します。たとえば「今日は割り算の練習をしよう」と声をかけるなら、「Hoy vamos a practicar la división.」と名詞を使いますが、「8に5を掛けてください」と指示する場合は「Multiplica ocho por cinco.」と動詞を使います。
また、足し算(la suma / sumar)や引き算(la resta / restar)も同様に名詞と動詞のペアが存在します。この「名詞で概念を語り、動詞で操作を指示する」という法則を体になじませることが、算数用語を使いこなす第一歩です。
次に、計算の式そのものを声に出して読む際に不可欠な、掛け算の記号「×」の読み方について詳しく確認していきましょう。

掛け算の記号「×」の読み方は前置詞の por
- 掛け算の記号「×」は前置詞 por(ポル)と読む
- 「A × B = C」は A por B es igual a C と表現する
- 計算の操作を明示・強調したい場合は multiplicado por を用いる
スペイン語で数式を声に出して読むとき、最も頻繁に使われ、かつ最も重要な単語が前置詞の por です。この短い単語一つを2つの数字の間に挟むだけで、「掛ける」という数学的な操作を相手に的確に伝えることができます。
por は日常スペイン語において「〜によって」「〜のために」「〜の期間」など非常に多くの意味を持つ多義語ですが、前後に数字が置かれている文脈では、ほぼ例外なく「掛け算」を意味すると判断して間違いありません。基本的な数式の語順は、「数A」+「por」+「数B」+「es igual a」+「答えの数C」となります。
- フレーズ
- Nueve por nueve es igual a ochenta y uno.
- 日本語訳
- 9掛ける9は81です。(9×9=81)
- 使う場面
- 九九の答え合わせや、単純な掛け算の式を読み上げる時。
- 注意点・誤用例
- 日常会話では「es igual a」を省略し、動詞 ser を使って「Nueve por nueve son ochenta y uno.」と複数形で言うことも多いです。しかし、主語の単数・複数に迷う学習初期は、変化しない「es igual a」を使う方が間違いがありません。
また、文章の中で「ある数に別の数が掛けられている状態」を論理的に説明したり、計算の手順を強調したりしたい場合は、動詞 multiplicar の過去分詞を用いた multiplicado por を使う表現もあります。
たとえば、「250に40を掛けると10,000です」と説明的に言いたい場合は、「Doscientos cincuenta multiplicado por cuarenta es igual a diez mil.」となります。数式だけを素早くリズミカルに読みたいときは「por」で十分ですが、フォーマルなプレゼンテーションや、相手に計算の意図を明確に伝えたい場面では「multiplicado por」が重宝します。
「por」はあくまで数式をつなぐ前置詞であり、動詞ではありません。「5を掛けてください」と指示を出したい場合に「Por cinco.」とだけ言うのは、文法的に不完全です。動作を促す場合は、必ず動詞の multiplicar を使用しなければなりません。
では、その動詞 multiplicar を実際の会話の中でどのように活用し、組み合わせていくのか、具体的な使い方を掘り下げていきましょう。
動詞 multiplicar の活用と日常での応用
- 「AにBを掛ける」は multiplicar A por B と表現する
- 現在形では規則的な -ar 動詞として活用する
- 数学的な計算だけでなく「数や量が何倍にも増える」という比喩的な意味でも使われる
動詞 multiplicar を使いこなすための最大のポイントは、一緒に使う前置詞を間違えないことです。日本語の「AをBで掛ける」という直訳に引っ張られて、手段を表す前置詞「con(〜で)」を選んでしまう学習者がいますが、これは誤りです。スペイン語では常に multiplicar A por B というひとまとまりのフレーズとして記憶することが重要です。
活用自体は、一般的な -ar 動詞の規則に完全に従います。現在形であれば、主語に合わせて次のように変化します。
- yo multiplico(私は掛ける)
- tú multiplicas(君は掛ける)
- él / ella / usted multiplica(彼/彼女/あなたは掛ける)
- nosotros / nosotras multiplicamos(私たちは掛ける)
- ellos / ellas / ustedes multiplican(彼ら/彼女ら/あなたたちは掛ける)
会話の中で相手に計算をお願いする場面も多いため、命令形である「Multiplica…(掛けて)」という形は特によく耳にします。たとえば「その数に10を掛けてみて」と促すなら、「Multiplica el número por diez.」となります。
- フレーズ
- Si multiplicas doce por tres, obtienes treinta y seis.
- 日本語訳
- もし12に3を掛けると、36になります(得られます)。
- 使う場面
- 相手に計算のプロセスと結果を論理的に説明する時。
- 発音・ニュアンス
- obtener(得る)という動詞を使うことで、「結果として導き出される」という丁寧なニュアンスになります。条件文の「Si(もし〜なら)」と相性が良い表現です。
さらに、multiplicar は単なる算数の範囲にとどまらず、ビジネスやニュースにおいても「急増する」「倍増する」といった比喩的な意味で広く使われます。たとえば「売上が大きく伸びた」を「La empresa multiplicó sus ventas.」と表現したり、再帰動詞を用いて「問題が山積みになった」を「Los problemas se multiplicaron.」と表現したりすることで、日常のさまざまな事象をダイナミックに描写することが可能です。
掛け算の式を読むだけでなく、計算を構成するそれぞれの「数字の役割」について語る必要がある場合はどうでしょうか。次に、数学の授業などで登場する専門的な名称について見ていきましょう。
掛け算を構成する数の名称(因数、積)
- 掛けられる数と掛ける数を合わせて factor(因数)と呼ぶ
- 掛け算の答え(結果)は producto(積)と呼ぶ
- producto は日常会話の「製品」と同じ単語だが、数学の文脈では「積」となる
日常会話で「5×4」と言うだけであれば数字と por を並べるだけで十分ですが、現地の学校に通う場合や、数学的な問題文を読む際には、計算を構成する各要素の名称を知っておく必要があります。たとえば「6 × 4 = 24」という式を例に考えてみましょう。
掛け合わせる元の数字である「6」と「4」は、どちらもスペイン語で factor(因数) と呼ばれます。より厳密に分ける場合、掛けられる数(6)を multiplicando(被乗数)、掛ける数(4)を multiplicador(乗数)と呼び分けることもありますが、一般的には両方まとめて los factores と表現することが多いです。
- フレーズ
- Calcula el producto de nueve y siete.
- 日本語訳
- 9と7の積(掛け算の答え)を計算しなさい。
- 使う場面
- 数学のテスト問題や、教師が学習者に問題を出す時。
そして、掛け算によって導き出された答えの「24」は、el producto(積) と呼ばれます。producto と聞くと、スーパーやお店に並んでいる「製品」や「商品」を思い浮かべるかもしれませんが、数学の文脈で登場した場合は「掛け算の答え」を指していると判断してください。「El producto de seis por cuatro es veinticuatro.(6と4の積は24です)」というように使われます。
ここまでは掛け算の基本的な式について解説してきましたが、生活の中では数式そのものよりも「2倍にする」「3倍の重さがある」といった表現の方がよく使われます。続いては、倍数を表す便利な単語を見ていきましょう。
「2倍」「3倍」「倍数」を表すスペイン語表現
- 「2倍」は el doble、「3倍」は el triple、「4倍」は el cuádruple
- 「Aの2倍」と言う時は el doble de A とする
- 「AはBの倍数だ」は A es múltiplo de B と表現する
料理のレシピの分量を増やしたり、値段や重さを比較したりする際、「〜倍」という表現は欠かせません。スペイン語では、よく使われる「2倍」から「4倍」までに専用の単語が用意されています。
2倍は el doble、3倍は el triple、4倍は el cuádruple と言います。これらは名詞として機能するため、後ろに前置詞の de を付けて「〜の2倍(el doble de…)」という形で使われるのが一般的です。たとえば「小麦粉が2倍必要です」と言いたい場合は、「Necesitamos el doble de harina.」となります。
- フレーズ
- Ella gana el triple que yo.
- 日本語訳
- 彼女は私の3倍稼いでいます。
- 注意点・誤用例
- 「〜の2倍」と所有や所属を表す場合は「de」を使いますが、この例文のように「私よりも2倍稼ぐ」と比較の対象を示す場合は、関係代名詞の「que」を使います。ここを「el triple de yo」としてしまうと不自然になるので注意しましょう。
また、ある数が別の数で割り切れる関係性を示す「倍数」という言葉は、múltiplo と言います。「12は3の倍数です」は「Doce es múltiplo de tres.」となります。複数ある場合は「Diez, quince y veinte son múltiplos de cinco.(10、15、20は5の倍数です)」と複数形にして対応します。
掛け算の表現をマスターしたところで、次は生活の中で非常によく登場する「割り算」の記号と動詞の表現方法へとステップを進めましょう。

割り算の記号「÷」の読み方は前置詞の entre
- 割り算の記号「÷」は前置詞 entre(エントレ)と読む
- 「A ÷ B = C」は A entre B es igual a C となる
- entre が本来持つ「〜の間に」「〜で分けて」という原義を意識すると理解しやすい
スペイン語で割り算の数式を読む際に鍵となるのが、前置詞の entre です。掛け算における「por」とまったく同じ感覚で、2つの数字の間に挟むだけで「割る」という操作を表現することができます。
この entre という単語は、本来「〜の間に」や「〜の中で」という意味を持っています。割り算とは、あるまとまった数をいくつかの部分に「分ける」行為であるため、この原義と非常にスムーズに結びつきます。たとえば「12を4で割る(12 ÷ 4)」という計算は、スペイン語の語感では「12という数を4つの間に等しく分配する」というイメージとして捉えられます。
- フレーズ
- Cien entre diez es igual a diez.
- 日本語訳
- 100割る10は10です。(100÷10=10)
- 注意点・誤用例
- 一部の地域や話者によっては、掛け算の multiplicado por に影響されて「dividido por」と言うこともあります。意味は通じますが、掛け算の「por」との混同を避け、より標準的なスペイン語を身につけるためにも、学習中は「entre」または「dividido entre」で統一しておくことをお勧めします。
掛け算の時と同様に、計算の操作を明確に言語化したい場合は、過去分詞を用いて「dividido entre(〜で割られた)」という表現を使うことができます。「Doce dividido entre cuatro es igual a tres.」と発音すれば、より論理的で説明的な響きになります。数式を素早く読むなら「entre」、操作を詳しく言うなら「dividido entre」と使い分けましょう。
ここまでは数式の記号の読み方を解説しましたが、実際に人に「この数を割って」と指示したり、「みんなで割り勘にしよう」と働きかけたりする際には、動詞 dividir が不可欠です。次にその使い方を見てみましょう。
動詞 dividir の使い方と repartir との決定的な違い
- 「AをBで割る」は dividir A entre B と表現する
- dividir は数量の分割や計算操作そのものを表す
- repartir は実際に物を人々に「配る」「手渡す」という物理的な行為を表す
割り算の操作を動詞で表現する際の基本形は dividir A entre B です。dividir は語尾が -ir で終わる規則動詞であり、現在形では yo divido, tú divides, él divide, nosotros dividimos のように活用します。
ここで、日常生活で何かを「分ける」際に頻出するもう一つの動詞、repartir との違いを正確に理解しておくことが非常に重要です。dividir が「数値を割る」「全体をいくつかに分割する」という数学的または抽象的な操作に焦点が当たっているのに対し、repartir は「各々に配り分ける」「実際に手渡す」という物理的な行為に重きを置いています。
- フレーズ 1 (dividir を使った表現)
- Tenemos que dividir la pizza en ocho porciones.
- 日本語訳
- ピザを8切れに分割しなければなりません。(数を分ける操作)
- フレーズ 2 (repartir を使った表現)
- Vamos a repartir las galletas entre los niños.
- 日本語訳
- クッキーを子どもたちに配りましょう。(手渡す行為)
また、dividir の後に続く前置詞の使い分けもポイントです。前置詞が entre の場合は「誰の間で分けるか(対象となる人)」を指し、前置詞が en の場合は「いくつの部分にするか(分割する数)」を指します。「Dividimos la pizza entre cuatro personas.(ピザを4人で分ける)」と「Dividimos la pizza en ocho porciones.(ピザを8切れに分ける)」という違いです。この細かな使い分けができると、より立体的で正確な表現が可能になります。
動詞による操作が分かったところで、今度は割り算特有の「余り」や「割り切れる・割り切れない」といった状態をどう表現するのかを確認しましょう。
割り切れる?割り切れない?「余り」の言い方
- 「割り切れる」は es divisible entre を使う
- 割り算の「余り」は数学用語で el resto または el residuo と呼ぶ
- 日常会話では「余る・残る」という意味の動詞 sobrar を使うとより自然
すべての割り算がきれいに分配できるわけではありません。ある数が別の数で完全に「割り切れる」ことを数学的に表現する場合、形容詞の divisible を使用します。たとえば「100は4で割り切れる」は、「Cien es divisible entre cuatro.」となります。逆に割り切れない場合は、単純に否定の no を加えて「no es divisible entre tres(3では割り切れない)」とします。
計算の結果、割り切れずに「余り」が出た場合、その余った数は名詞で el resto または el residuo と呼ばれます。「25を4で割ると、商は6で、余りは1です」と言いたいなら、「Al dividir veinticinco entre cuatro, el cociente es seis y el resto es uno.」となります。
- フレーズ
- Al dividir veintiséis entre cuatro, obtenemos seis y sobran dos.
- 日本語訳
- 26を4で割ると6になり、2余ります。
- 発音・ニュアンス
- 上記のフレーズで使われている sobrar は「余る」「残る」という意味の動詞です。日常会話で「クッキーが2枚余っちゃった」と言うような時は、わざわざ数学用語の resto を使うよりも、「Sobran dos galletas.」と言ったほうがはるかに自然で伝わりやすくなります。主語が「2つのもの」なので複数形の sobran になっています。
こうした割り算や余りの感覚が最も活きる場面といえば、旅行先やレストランでの支払いです。次は、実生活ですぐに使える割り勘の表現について詳しく見ていきましょう。
実生活で使える!レストランでの「割り勘」表現
- 「割り勘にする」は dividir la cuenta a partes iguales と表現できる
- 「1人あたり〜になる」という自分の取り分は、動詞 tocar を使って表す
- tocar は「割り当てられる」という意味で、お金や物の分配の場面で大活躍する
スペインや中南米のレストランで食事をした後、友人や同僚と一緒に会計を均等に分けることはよくあります。このような時に計算の知識が直接役立ちます。合計金額(la cuenta)を人数で割る作業こそが、まさに dividir の出番です。
会計を平等に分けることを提案する際、「Vamos a dividir la cuenta entre cuatro.(会計を4人で割りましょう)」と言えば完璧に通じます。また、「均等に」というニュアンスをより強調したい場合は、a partes iguales という便利な熟語を付け加えて「Dividimos la cuenta a partes iguales.」と表現することもできます。
- 会話例(割り勘の場面)
-
学習者 A: La cuenta es de sesenta euros. Vamos a dividirla entre cuatro.
学習者 B: Vale. Entonces, sesenta entre cuatro son quince… Nos tocan quince euros por persona. - 日本語訳
-
学習者 A: 会計は60ユーロだね。4人で割ろう。
学習者 B: わかった。じゃあ、60割る4は15だから… 1人につき15ユーロになるね。 - 発音・ニュアンス
- 動詞 tocar(触る)がここでは「順番が回ってくる」「(取り分として)割り当てられる」という意味で使われています。「Nos tocan」と複数形になっているのは、主語が「15ユーロ(複数)」だからです。por persona は「1人につき」を意味します。
この tocar という動詞の使い方は、割り算や分配の場面を知るうえで非常に重要です。お金だけでなく、物の分配にも使えます。たとえば、クッキーを家族で分ける場面を想像してみてください。
「Hay veinticuatro galletas y somos cuatro personas. Veinticuatro entre cuatro es igual a seis. A cada uno le tocan seis galletas.(クッキーが24個あって、私たちは4人です。24割る4は6です。1人につき6個ずつ割り当てられます。)」
このように、計算結果をただの数字として終わらせず、現実の「誰の取り分か」に結びつけるために tocar は必須の単語だと言えるでしょう。

小数・分数を含む掛け算と割り算の読み方
- 小数の区切り(小数点)は coma(コンマ)と読む地域が多い
- 「半分」は la mitad、「3分の1」は un tercio、「4分の1」は un cuarto
- 日常会話では分数をわざわざ割り算の式にせず名詞で表現する方が自然
ここまでは整数の計算を扱ってきましたが、生活の中では「2.5キロの肉」や「半分の量」など、小数や分数が登場することも珍しくありません。小数や分数でも、掛け算の por と割り算の entre の使い方はまったく同じです。
スペイン語圏の多くの地域では、小数点の区切りとしてピリオド(punto)ではなくコンマ(coma)が広く使われます。読み上げる際もそのまま coma を使います。たとえば「2.5 × 4 = 10」は、「Dos coma cinco por cuatro es igual a diez.」と読みます。中南米の一部地域では punto が使われることもあるため、現地の表記に合わせて柔軟に対応してください。
- フレーズ
- La mitad de veinte es diez.
- 日本語訳
- 20の半分は10です。
- 使う場面
- 日常会話で、わざわざ「20÷2」という式を出さずに量を分ける時。「半分」は la mitad、「3分の1」は un tercio、「4分の1」は un cuarto と表現します。
日常会話では、「20を2で割る(Veinte entre dos)」と数式として読むよりも、「20の半分(La mitad de veinte)」と分数表現の名詞を使った方が、はるかに自然でスマートな印象を与えます。計算の知識と分数の表現をセットで覚えておくと、表現の幅がぐっと広がります。
では、相手に対して「答えはいくつ?」と計算結果を尋ねたり、それに答えたりする場合は、どのような単語を選べば良いのでしょうか?
「答えはいくつ?」計算結果を尋ねる・答える方法
- 「結果になる」という意味で動詞 dar が頻繁に使われる
- 答えを尋ねる時は ¿Cuánto da…? が短くて便利
- 「答え」そのものを指す名詞は respuesta や resultado を使う
会話の中で「8掛ける9はいくつになる?」と相手に計算を求める場合、もちろん「¿Cuánto es ocho por nueve?」とシンプルに聞くこともできます。しかし、よりスペイン語らしい自然な言い回しとして覚えておきたいのが、動詞 dar を使った表現です。
dar は本来「与える」という意味の動詞ですが、計算においては「結果として〜になる」「〜を算出する」という働きをします。「¿Cuánto da ocho por nueve?(8×9はいくつになりますか?)」と聞かれたら、「Da setenta y dos.(72になります)」と答えるのが非常にスマートです。
- 会話例
-
学習者 A: ¿Cuál es el resultado de esta operación? Diez entre dos…
学習者 B: Diez entre dos da cinco. La respuesta correcta es cinco. - 日本語訳
-
学習者 A: この計算の結果はいくつ? 10割る2は…
学習者 B: 10割る2は5になるよ。正しい答えは5だ。
計算の「答え」や「結果」という名詞を使いたい場合は、la respuesta や el resultado が無難で使い勝手が良いです。さきほど解説したように、数学の専門用語として掛け算の答えを el producto(積)、割り算の答えを el cociente(商)と呼ぶこともありますが、日常の買い物や食事の話題であれば resultado で十分に伝わります。
続いては、スペイン語圏の文化に少し触れてみましょう。スペイン語圏の子どもたちは、どのようにして掛け算を暗記しているのでしょうか。
スペイン語圏の九九(las tablas de multiplicar)事情
- スペイン語で九九は las tablas de multiplicar(掛け算の表)と呼ぶ
- 日本語のような独特の語呂合わせはなく、数字と por をそのまま読む
- 「2の段」は la tabla del dos と表現する
日本では「二一が二、二二が四、二三が六…」という独特のリズムと語呂合わせで九九を暗唱しますが、スペイン語圏ではどうでしょうか。スペイン語で九九は las tablas de multiplicar と呼ばれます。直訳すると「掛け算の表」です。
スペイン語には日本語のような省略された特殊な読み方は存在せず、数と por を順番に並べてリズミカルに暗唱していきます。たとえば「3の段(la tabla del tres)」であれば、「Tres por una, tres. Tres por dos, seis. Tres por tres, nueve…」と、es igual a を省略した短い形で唱えるのが一般的です。(※ここでは uno ではなく、tabla に合わせて女性形の una が使われることがよくあります。)
掛け算の「por」と、パーセントを表す「por ciento」を混同しないようにしましょう。「Cinco por seis son treinta.」は 5×6=30 ですが、「El veinte por ciento de cien es veinte.」は 100の20パーセントは20、という意味になります。パーセント計算でも掛け算は使いますが、por ciento はひとつの固定表現として扱ってください。
九九の文化ひとつとっても、言語の違いが表れていて興味深いですね。それでは最後に、学んだ内容を総復習するためのQ&Aと、実践に向けた案内を確認しましょう。
ここまで学んだ知識を定着させるため、この記事で解説した内容をQ&A形式で振り返ってみましょう。疑問点を残さず、自信を持って使えるようにしてください。
Q1. 掛け算の「×」はスペイン語で何と読みますか?
A1. 最も一般的な読み方は「por」です。たとえば「2×3」は「dos por tres」となります。計算の手順を強調したい場合は「multiplicado por」を使うこともあります。
Q2. 割り算の「÷」はどう読みますか?
A2. 基本的に「entre」と読みます。「10÷2」であれば「diez entre dos」です。こちらも手順を明示する際には「dividido entre」という表現が使われます。
Q3. 掛け算を表す名詞と動詞の違いは何ですか?
A3. 掛け算という概念そのものを指す名詞は la multiplicación、実際に「〜に〜を掛ける」という動作を指示する動詞は multiplicar です。これらは使い分ける必要があります。
Q4. 「割り勘にしよう」と提案する自然なフレーズを教えてください。
A4. 「Vamos a dividir la cuenta.」や、均等であることを強調する「Dividimos la cuenta a partes iguales.」が便利でよく使われます。
Q5. 「1人につき〜になる(割り当てられる)」という便利な動詞は何ですか?
A5. 動詞の「tocar」を使います。たとえば「私たちは1人15ユーロずつだ」は「Nos tocan quince euros por persona.」と表現します。
Q6. 割り算をして「2余る」と言いたい時はどう表現しますか?
A6. 日常会話であれば、動詞 sobrar を使って「Sobran dos.」と言うのが最も自然です。数学的な専門用語では余りを「el resto」と呼びます。
Q7. 「3倍」や「4倍」はスペイン語で何と言いますか?
A7. 3倍は el triple、4倍は el cuádruple です。「〜の3倍」という場合は el triple de… と前置詞 de をつなげます。
Q8. 「〜は〜の倍数だ」という表現はどう作りますか?
A8. múltiplo de を使います。「12は3の倍数だ」は「Doce es múltiplo de tres.」となります。
Q9. 計算結果が「〜になる」という時に使う動詞は何ですか?
A9. 動詞 dar(与える)を使います。「10割る2は5になる」は「Diez entre dos da cinco.」と表現します。
Q10. 動詞 dividir と repartir の違いは何ですか?
A10. dividir は「数を割る」「等分に分割する」という計算や操作を表し、repartir は「各々に配り分ける」「実際に手渡す」という物理的な行為を表します。

