さあ、今日も元気にスペイン語でコミュニケーション!スペイン語を学んでいると、「~させる」「~してもらう」といった使役表現を使いたい場面がよく出てきますよね。「子供に宿題をさせる」「友達に手伝ってもらう」「上司に許可をもらう」など、日常生活からビジネスシーンまで、使役表現は欠かせません。
スペイン語で「~させる」を表す代表的な動詞は「hacer」ですが、実はそれ以外にも「obligar」「dejar」「permitir」など、ニュアンスの異なる複数の表現が存在します。強制なのか、許可なのか、放任なのか…状況によって適切な動詞を使い分けることが、より自然で正確なスペイン語コミュニケーションの鍵となります。
今回は、スペイン語の使役表現、特に「hacer」を中心に、それぞれの動詞が持つ意味合いの違い、具体的な構文、使い方、そして類似表現まで、会話例を交えながら徹底的に解説していきます!
スペイン語の使役「~させる」を完全マスター!hacer, dejar, permitir, obligar の違いと使い方
目次
使役表現の基本:「hacer + 不定詞」
スペイン語で最も一般的で幅広く使われる使役表現が、動詞「hacer」を使った構文です。「hacer」は本来「作る」「行う」という意味を持つ非常に基本的な動詞ですが、使役の意味では「(誰かに)~させる、(何かを)~の状態にする」という意味を表します。英語の “make” に近い用法です。
構文:hacer + [人(間接目的語)] + 不定詞 + [物(直接目的語)]
基本的な形は「hacer + 不定詞(動詞の原形)」です。「誰に」させるのかを明示する場合は、hacerの前に間接目的格代名詞(me, te, le, nos, os, les)を置きます。
構文の骨格:
(主語) + [間接目的格代名詞] + hacer (活用形) + 不定詞 + (不定詞の目的語など)
- 間接目的格代名詞:
- me (私に), te (君に), le (彼/彼女/あなた(usted)に)
- nos (私たちに), os (君たちに), les (彼ら/彼女ら/あなた方(ustedes)に)
例文:
Mis padres me hicieron aprender a montar en bicicleta.
(ミス パドレス メ イシエロン アプレンデール ア モンタール エン ビシクレタ)
私の両親は私に自転車の乗り方を学ばせた。
El profesor les hizo leer el libro a los estudiantes.
(エル プロフェソール レス イソ レエール エル リブロ ア ロス エストゥディアンテス)
先生は生徒たちにその本を読ませた。
Tu cocina siempre me hace feliz.
(トゥ コシーナ シエンプレ メ アセ フェリス)
あなたの料理はいつも私を幸せな気持ちにさせる。(この場合は「hacer + 形容詞」)
「hacer」は非常に幅広く使われ、文脈によっては強制に近い意味から、許可や原因・結果まで様々なニュアンスを表します。
ニュアンス別!「〜させる」の使い分け
「hacer」以外にも、「~させる」に近い意味を持つ動詞があります。それぞれのニュアンスの違いを理解し、状況に合わせて使い分けることが大切です。

状況によって「させる」のニュアンスは様々
obligar a + 不定詞 – 「義務付ける」「強制する」
obligar a alguien a + 不定詞
(人)に~することを義務付ける、強制する
「obligar」は、義務や規則、あるいは力によって、相手に何かを強制するという強い意味合いを持ちます。「hacer」よりも拘束力が強いニュアンスです。前置詞「a」を伴って「obligar a + 不定詞」の形で使われます。
例文:
Mis padres me obligaban a hacer cualquier deporte, aunque fuera duro.
(ミス パドレス メ オブリガバン ア アセール クアルキエール デポルテ, アウンケ フエラ ドゥーロ)
私の親は、きつくてもスポーツなら何でも、私にやらせていた(強制していた)。
La ley nos obliga a pagar impuestos.
(ラ レイ ノス オブリガ ア パガール インプエストス)
法律は私たちに税金を支払うことを義務付けている。
また、再帰動詞「obligarse a + 不定詞」の形になると、「~せざるを得ない」という、不本意ながらも何かをする状況を表します。
例文:
Si sigues fumando, te verás obligado a pagar más.
(シ シゲス フマンド, テ ベラス オブリガード ア パガール マス)
もしタバコを吸い続けるなら、もっと多く支払うことを強いられる(払わざるを得なくなる)だろう。
※この場合の「obligado」は過去分詞が形容詞的に使われています。

「obligar」は強制や義務のニュアンス
dejar + 不定詞 – 「〜させておく」「許す」「放置する」
dejar + [人(間接目的語)] + 不定詞
(人)に〜させておく、〜することを許す、〜するのを放置する
「dejar」は元々「置く」「去る」「(そのままに)しておく」という意味の動詞です。使役表現としては、「干渉せずに〜させておく」「〜することを許す」「好きにさせる」といった、許可や放任のニュアンスを持ちます。
例文:
Yo siempre quería que me dejaran hacer lo que quisiera.
(ジョ シエンプレ ケリア ケ メ デハラン アセール ロ ケ キシエラ)
私はいつも、自分のやりたいことをやらせて欲しかった。
Déjame comer a mi manera, así me siento más cómoda.
(デハメ コメール ア ミ マネラ, アシ メ シエント マス コモダ)
私のやり方で食べさせてよ(好きにさせてよ)。このほうが楽なの。
No me dejan salir después de las diez.
(ノ メ デハン サリール デスプエス デ ラス ディエス)
(親は)私を10時以降に外出させてくれない。
決まり文句の「Déjame en paz (デハメ エン パス) – 私を平和なままにしておいて」は、「ほっといてくれ!」という意味になります。

「dejar」は許可や放任のニュアンス
permitir + 不定詞 / que + 接続法 – 「許可する」「認める」
permitir + [人(間接目的語)] + 不定詞
permitir que + 接続法
(人)が〜することを許可する、認める
「permitir」は、「dejar」よりもフォーマルな響きを持ち、公的な許可や規則、認可を表す場合によく使われます。法律やルールで「許されている/許されていない」という文脈で登場することが多いです。
「permitir + 不定詞」の形でも使えますが、「permitir que + 接続法」の形も非常によく使われます。(接続法はスペイン語の法の一つで、願望・不確かさ・感情などを表します)
例文:
Mis padres no me permitían estudiar fuera del país.
(ミス パドレス ノ メ ペルミティアン エストゥディアール フエラ デル パイス)
Mis padres no permitían que (yo) estudiara fuera del país. (接続法過去)
(ミス パドレス ノ ペルミティアン ケ (ジョ) エストゥディアラ フエラ デル パイス)
私の両親は、私が海外留学することを許可してくれなかった。
Aquí no se permite fumar. / No está permitido fumar aquí.
(アキ ノ セ ペルミテ フマール / ノ エスタ ペルミティード フマール アキ)
ここでは喫煙は許可されていません。(受身形)
¿Me permite que le haga una pregunta? (接続法現在)
(メ ペルミテ ケ レ アガ ウナ プレグンタ?)
一つ質問させていただいてもよろしいですか?(許可を求める)

「permitir」は公的な許可や禁止を表すことが多い
ニュアンスの比較まとめ
動詞 | 主な意味 | ニュアンス | 構文例 |
---|---|---|---|
hacer | ~させる、~にする | 最も一般的。強制~許可、原因・結果など幅広く使う。 | hacer + (人) + 不定詞 |
obligar | 義務付ける、強制する | 拘束力が強い。義務、規則、力による強制。 | obligar a + (人) a + 不定詞 |
dejar | ~させておく、許す | 許可、放任、干渉しない。 | dejar + (人) + 不定詞 |
permitir | 許可する、認める | フォーマルな許可、公的な認可、規則。 | permitir + (人) + 不定詞 permitir que + 接続法 |
使役に関連するその他の表現
上記の主要な動詞以外にも、使役や許可・禁止に関連する表現があります。
- mandar + 不定詞: (人に~するよう)命じる、言いつける。(主に目上から目下へ)
- 例: Me mandó limpiar mi habitación. (彼は私に部屋を掃除するよう命じた)
- impedir + 不定詞: (人が~するのを)妨げる、不可能にする、させない。
- 例: La lluvia impidió jugar el partido. (雨で試合ができなかった)
- prohibir + 不定詞 / que + 接続法: (規則などで~するのを)禁止する。
- 例: Se prohíbe entrar sin permiso. (許可なく入ることは禁止されています)
- causar / provocar: (物事が~を)引き起こす、もたらす。(間接的な使役)
- 例: El accidente causó muchos problemas. (その事故は多くの問題を引き起こした)
- 再帰動詞を使った受動的使役: 「~してもらう」
- 例: Me corté el pelo. (私は自分で髪を切った) → Me hice cortar el pelo. / Fui a que me cortaran el pelo. (私は髪を切ってもらった) ※少し高度な表現
会話で学ぶ!使役表現のリアルな使い方
冒頭の会話を通して、使役表現がどのように使われているか、もう一度見てみましょう。
会話の振り返り
今度の週末に、サイクリングに行きましょうよ。
無理だわ。私は自転車に乗れないのよ。
なんですって?子供の頃、親に自転車の練習をさせられなかったの?(hacer + 不定詞)
その反対よ。危ないと言って学ばせてくれなかった(禁止した)わ。(prohibir + 不定詞)
私の親は、きつくてもスポーツなら何でも、私にやらせていた(強制していた)のよ。(obligar a + 不定詞)
羨ましいわ!私はいつも、自分のやりたいことをやらせて欲しかったのに。(dejar + 不定詞)
ああ、でも一方ではうちの親は、私が海外留学するのを許可してくれなかったわ。(permitir + 不定詞)
うちの親は留学を私に勧めた(行かせた)わよ。全部逆ね。(この文脈ではobligarは強い勧めや、結果的に行かせたニュアンス)
まとめ:使役表現を使いこなして表現力アップ!
スペイン語の使役表現は、基本の「hacer」に加え、「obligar(強制)」「dejar(許可・放任)」「permitir(許可・認可)」といった動詞を使い分けることで、より細かなニュアンスを伝えることができます。
それぞれの動詞が持つ意味合いと、基本的な構文(主に「+ 不定詞」や「a + 不定詞」)を理解することが重要です。最初は難しく感じるかもしれませんが、例文を参考にしたり、実際に使ってみたりする中で、徐々に感覚が掴めてくるはずです。
使役表現をマスターすれば、自分の意思を伝えたり、他者との関係性を描写したりする際の表現力が格段にアップします。ぜひ積極的に練習して、スペイン語でのコミュニケーションをさらに豊かなものにしてください!